有給休暇の過ごし方3 ページ17
蘭ちゃんとコナン君を見送った後、毛利探偵と顔を合わせておくのも気まずいので私は早々に自宅に帰る。
梅雨の中休みなのか雨はやんでいて、私は誰にも遭遇しなかった。
相変わらず、零の家には人の気配がない。うちにも人が来た気配はなかった。
――本当なら私は1人なんだよね……。
赤井さんはもう居ないし、零も仕事が忙しい。
私は蘭ちゃんみたいにキラキラした眼差しで誰かに恋愛を語れる立場でもない。
――何もかもリセットしたい気持ちになって、ため息が溢れる。
有給休暇を楽しく過ごせません、なんとかしてください。
そういえば、社長が「また新しい取引先を開拓してくれたので給料に上乗せしておいた。もはや、他の社員と給料の乖離がひどすぎるので、そろそろ役員になってくれ」って言ってたことを思い出す。
それっていったい、いくらくらいなんだろう。
会社のPCにログインすれば給料明細は見られるのだが、有給休暇中は基本ログインNGになっている。
もちろん、理由があって後で人事に申請すれば咎められることはないんだけど――。でもまあ、また「こんなことをするの、全社で蘇芳さんだけですよ!」って言われるのも面倒だしなぁ……。
それに、そろそろ、銀行くらい一人で行けるようにならなきゃだめだよね――。そうでないと、シュウに会うたびに現金を大量に押し付けられる。あの人こそ、今は現金が必要なはずなのに……。
と、あれこれうだうだと考えていた私は、午後になりようやく重い腰をあげて一人、通帳を持って銀行に行くことを決めた。
曇り空からはまた、鬱陶しい雨が降っている。
.
銀行の近くで顔色をなくしているジョディに出会った。
雨なのに傘もさしてない。私は慌てて彼女に傘をさしかける。
「ジョディ? どうしたの。もしかして今度は米花町に移転した?」
知らないうちに事務所を移動するのはいつものことだ。米花町だったらしばらくは、家から近くなって嬉しいかも。
「A……聞いて。私、今、シュウを見かけたの……!傘をさしていたけれど、でも絶対に間違いないわっ」
ジョディはまるで、幽霊でもみたような顔でそう言った。
123人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まつり(プロフ) - おさょさん» ありがとうございますー!スパダリいいですよね。 (2022年10月15日 15時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
おさょ(プロフ) - スパダリ最高です!ありがとうございます0(:3 )〜 ('、3_ヽ)_ (2022年10月15日 15時) (レス) @page3 id: ab6fcf8d72 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2022年10月14日 21時