Secret Talk2―降谷side― ページ8
もちろん、Aの極端な食生活の乱れも、生活態度のおかしさも、仕事への異常なほどののめり込み方も、すべては彼女が長生きなどしたくないから来ていることは薄々気が付いていた。
――それでも、まさかここまで酷いとは。目の当たりにして心が震えた。
もっと早く僕の気持ちを打ち明けて深く愛していることを知らせれば、少しは違ったんだろうか。
それでも、毎日ずっと傍に居られるわけではない。
余計淋しい思いをさせ、彼女を追い詰める可能性だってゼロではない。
こんなに拗らせたのは彼女がイギリス留学中に、一家全員居なくなったからで――。
そもそもは、当時Aの恋人であった男は彼女が留学中に悪事に手を染める。ジンから金を要求され、周防家(すおう/彼女の家は元来こちらが正しい苗字だ。事件以降、各方面からの目を誤魔化すため彼女の漢字表記を変更した)の莫大な財産があることを告げた。(もちろん、この時点ではその男と周防家の関係については明らかになってはいなかった。最初から男がAの恋人だとわかっていたらこのような事態にはならなかったはずだ。)
何億にも上るその資産に目を付けた組織一家暗殺を決め、当時アルコールネームがついたばかりの僕たちに腕試しとばかりに一家暗殺を命じた。面倒な「恋人であった男」はジンの手によって殺害された。
戸籍を見ると、両親と長男1人。
僕たちは資産を手放すことを条件に、家族を海外に逃がした。もちろん今でも名前や姿を変えてどこかで元気にやっているはずだ。
そして、組織には銃殺したと伝え、もちろん日本で葬儀も行っている。
――その後、実は彼らにはあえて戸籍から外していた長女――すなわちAがおり、彼女はイギリス留学中であったことを知る。
しかし、そのような事態になった後に彼女に家族の存在を知らせる方法はもはやなかった。(僕たちですらもう、家族の行方など知らない。探せば多分、組織に知られて大変なことになる)
銃で惨殺されたので遺体は直接見せられない。身元は指紋で確認したとAに伝えれば、彼女は涙ながらに納得してくれた。
これが事の顛末で、今やこんな事実を知るものは、赤井と僕しかいない。
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まつり(プロフ) - さいさん» ありがとうございます!嬉しいです。 (6月4日 17時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
さい - めちゃくちゃおもしろいです!シリーズの最初から一気に読んじゃいました!この作品大好きです! (6月4日 17時) (レス) id: abd64666f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2022年9月12日 15時