ある日曜日2 ページ23
さて、さすがにミルクティーを飲み終わった後、シュウは帰って行った。元々全然、うちに寄ってくれなくても大丈夫だったんだけどね――。
その日の午後2時過ぎ、私はさほど遠くもないポアロまでタクシーで出向くことになる。
絶対に1人で外を歩いちゃダメとか、もはや、幼稚園児並みの扱いだ。日本の治安はそこまで悪くはない、はず。
しかも、「勝手に出歩いたらその足取りも全部わかるから」とか言い残していったんだけど、そういうのって過保護を通り越して束縛なのではないでしょうか。警察に相談案件なのでは?
昨日ホテルで見かけた高木刑事だったら相談に乗ってくれそうな気がする、なんとなく。ただ、態度の悪さと流暢な英語くらいで煙に巻かれているようでは、シュウに勝てる気はしない。
でも、シュウが「心配だから仕事を辞めろ、金は振り込む」って言うタイプなのはとっくに知っているので、とりあえずは逆らう気が起きなかった。どう頑張っても、こんなの3日ももたないとは思うけど。
だって私は、未だに会社に一着お出かけ用の服を常備しているし、元来、ふらりと仕事帰りに馴染のないバーに1人で寄るような女だよ? さすがに私たちが、どこで出会ったか覚えているよね……?
あと、銀行に行くのが心配だからって言う理由でやたらうちに現金を置いていくのもやめてください。別の意味で治安が不安。
普通に考えて、この国で二度も銀行強盗に出くわす可能性は限りなく低いよ?
まあでも、昨日あまりにも楽しかったから今日くらいは素直に言うことを聞くことにした。
――そしたらもう、私は昼ご飯を食べるためにポアロに行くしかないよね?
ろくに食材も料理器具もない我が家で、食事が作れるはずもない。一応零にメールしたら、Aの昼ごはんの用意はあるからいつでもおいでと返事が来た。
というわけで、私は日曜日の午後2時過ぎ。
ひと段落したポアロで、昼ご飯を食べている。
零は、本当に今朝までのことなんて何もなかったかのように、いつも通りの「安室透」なので感心するしかない。
一週間ぶりにあった常連客に対するように、丁寧に接客してくれる。
いいなー、私も本物の「安室透」に憧れる。彼となら、一番心穏やかに過ごせそうな気がするんだけど、どこかに居ないかしら?
もっとも、みんなのアイドル「安室透」が私を恋愛対象としてみてくれるかどうかはあまり自信がないけれども。
241人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まつり(プロフ) - さいさん» ありがとうございます!嬉しいです。 (6月4日 17時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
さい - めちゃくちゃおもしろいです!シリーズの最初から一気に読んじゃいました!この作品大好きです! (6月4日 17時) (レス) id: abd64666f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2022年9月12日 15時