A Day1 ページ17
「零、お疲れ様。
ちゃんとシュウと一緒に居たよ？」
部屋の扉があいた瞬間に、エスカレートしかけたシュウのキスから抜け出して零の傍に駆け寄るくらいの分別は残っていた。
ほんっと、ちょっと気を許すとすぐに色気溢れるイケナイお兄さんになるのはやめて欲しい。
どんなスタンスでいればいいのかわからなくなって困ります。
「――偉い」
ひょいっと腰に手を回し軽々と私を抱き上げてくれる零は見た目よりずっと力がある。
「ねえ、今日はどこかに出かけないの？」
私の脳は非日常な空間でめちゃくちゃスマートかつ強固に守ってもらえたからか、彼らのことを「かっこいい・素敵・惚れ直した！」と思ってしまっている。
ちょっと誘われたらすぐに揺らぎそうだし、でもいい加減身体は疲れていてとても色々対応できそうにもないので、ずっとこの部屋にいるのは絶対に良くない。
そもそも、そんなに恋愛経験豊富でもない私には、百戦錬磨のお兄さんたちの誘いを上手に断るほどの強い意思もテクニックも全くない。
「ここのテニスコート、空いているから使っていいって言ってもらえたから行ってみる？ 必要な道具、一式レンタルできるって」
外で遊んだほうが絶対に健全。
私はひょいと零の手から飛び降りるように降りた。
「シュウも行く？ もし、問題なければ、だけど」
ここを三人で歩けるってことは、そこまで問題ないと思うんだけど――。どうだろう。
「君はテニスができるのか？」
ソファに座っているシュウが私に問う。
「全然。体育の授業くらいでしかやったことないけど……ダメ？」
「いや、ダメじゃない。行ってみよう」
貸し切りのテニスコートで最低限の打ち方だけ習ったらとにかく試合がしたいんだけど、なかなか思ったようにはうまくいかない。
私じゃ全然テニスにならないので、シュウと零がデモで試合してあげよっか？ って言い始めた時点ではよかったけど……。そのうち白熱し始めたよね。
どんな理由であれ、この二人を戦わせてはダメなのでは……って私が気が付いたのは、だいぶデュースが続いてからだ。
デュースを使わない「ノーアドバンス」という得点方法があるんだったら、先に教えておいてほしかった……。
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まつり(プロフ) - さいさん» ありがとうございます！嬉しいです。 (6月4日 17時) (
レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
さい - めちゃくちゃおもしろいです！シリーズの最初から一気に読んじゃいました！この作品大好きです！ (6月4日 17時) (レス) id: abd64666f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつり
| 作成日時：2022年9月12日 15時
