溺愛禁止！1【赤井秀一】【安室透】

面倒見の良い隣人1 ページ6

金曜日はさすがに飲みすぎた――

ピンポン、ピンポンと呼び鈴がやたらうるさくて目を覚ます。
時刻は朝の9時前だ。

昨日遅くまで飲んでいたんだから、土曜日の朝くらい放っておいて欲しい。

「も――っ いい加減にしてください。
　私は今日仕事休みなの――っ」

扉を開けると、面倒な――もとい、面倒見の良い隣人が隣に立っていた。

「昨夜は何時まで飲んでいたんですか、僕がどれほど心配したと？」

白シャツにジーンズというカジュアルないでたち。
金髪に褐色の肌を持つ爽やかなイケメンは、米花町ではちょっとした有名人だ。

喫茶ポアロの店員、安室透。


そして、その正体は警察関係の仕事に勤める、降谷零だ。


彼との出会いは4年前。
私は大学生で――イギリスに留学中だった。

両親と兄が日本で銃殺されたと報告を受けたときまでさかのぼる。


両親の葬儀の時にも付き添ってくれたし、海外留学が終わって帰国する時もわざわざ迎えに来てくれた。


でも、警察内部のどこで働いているのか詳しいことは言えないというし(そんなに秘密にしなきゃならない組織なんて公安くらいなんじゃないの？ って聞いたので勝手に公安の人だと思い込んでいる。もちろん本人には言わないけれども)、ある日突然「今度安室透って名前でしばらくすごすことにしたんだ。丁度隣の部屋が開いているから君も一緒に引っ越さない？」と誘いに来て半ば強引に私の引っ越しを行わせただいぶ面倒な人だ。


もちろん、彼氏なんかでは決してない。


だいたい、仕事先も明かせず、偽名で過ごす人が、どれほど顔とスタイルが良くて、料理が上手で面倒見が良い人であろうとも、付き合う気になるのはかなり難しい。

面倒見の良い隣人2→←失恋4―ジョディside―

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す