溺愛禁止！1【赤井秀一】【安室透】

ヘッドハンティング17 ページ45

ブラック氏から
「なるほど、確かに頭の切れる方だ」という過分な言葉が出てきて驚く。

「買いかぶりすぎです。ちょっと人に頼って助言をもらっただけなんです」

社長がちょっと席を立った時に私はポケットからライターと煙草を取り出して見せた。

割と特徴的なZIPPOの限定ライターだ。煙草もいつも同じ銘柄を吸っている。酸素を吸うように煙草を吸うほどヘビースモーカーの部下と過ごしているなら、ブラック氏も必ず見覚えがあるはず。

ブラック氏は目を見開き驚きの表情を滲ませる。私は社長が戻る前に手早くそれを片付けた。

「私、午前中の段階ではこの方の勤務先なんて知らなかったもので。全く話が見えずに失礼しました」

どう考えても、この人が私の存在を知ったのは赤井さん経由だとしか思えない。
逆にそれ以外のルートの何があるか知りたいところだ。


「Mr.Saitoからも連絡を頂いたところです。私の軽率なお願いで危うく国際問題に発展するところでしたね」

「まったく発展しませんよ？ 本当に、ご期待に沿えるようなことは多分何も。あの、ご期待に添えない場合早々に契約解除していただいて構わないので」

どうも、いろんな人に誤解を抱かれる。

全部安室さんと赤井さんのせいだ。

――だいたい、あの人たちいったい何なの。あまりにも当たり前みたいにそこにいるから忘れがちだけど、私のためにあれほど尽くしてくれる意味が分からない。



話がまとまり、後は上同士の書類作成となった。

これが終わったら一度細かい打ち合わせのためFBIの準備した事務所に来て欲しいと言われていた。どうせ仕事が手につきそうにないので、了承する。

私は先に失礼することにして入ってきた方の扉に向かう。

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