溺愛禁止！1【赤井秀一】【安室透】

プロローグ ページ1

組織の潜入捜査を抜け、恋人である宮野明美を失った後の赤井秀一の様子は本当におかしい。

元々報連相は苦手な一匹狼タイプではあるが、この調子だと組織解体後本国に戻った際にFBIとして働けないのではないかと、元恋人のジョディとしては心配で仕方がなかった。

そこで、放っておくと引きこもりがちな赤井秀一を連れて夜の飲み屋に繰り出すのが最近の日課だ。

上司であるジェイムズ・ブラックも事情を知って良く付き合ってくれる。

FBIが借りているホテルの近くで飲むこともあれば、遠くに行くこともあった。

赤井が必ずしも会話に参加するわけではないが、少なくとも少しは何かを食べるし酒を浴びるように飲む。

赤井は幼子ではないし、ジョディは彼女でもないので、赤井を寝かしつけることは困難だが、胃に少しでも何か入れる機会をつくれるだけでもマシなのでは――と、ジョディは考えていた。




その日、蘇芳Aの勤める会社の近くにあるバーのカウンターで、赤井秀一が一人煙草片手に飲んでいたのは、そういう事情があったからだ。


もちろん、日本在住FBIの他のメンバーたちは別の席で楽しく会話を交わしながらお酒をたしなんでいる――

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