溺愛禁止！1【赤井秀一】【安室透】

恋人ができない理由1 ページ49

ああ、信じられない。
FBIからのヘッドハンティング騒ぎから約一か月。
あれから全く全然合コンの誘いがなくなった。

「だって、蘇芳主任を合コンに誘ったら絶対に殺されますよね？」って田中さんが力説するせいだ。誰もそんなことでは殺しに来ないから大丈夫、安心して？ むしろ私に彼氏ができたら喜んで溺愛をやめてくれると思う、多分。

「ねぇ、誰が殺しに来ると思ってるの？」

「赤井さんに決まってます！あと、そろそろ赤井さんの写真ください！」と相変わらず詰め寄ってくるけれど、どのタイミングで写真を撮ればいいのかわからない。私が朝から会社に出社する日は近くのカフェで一緒にコーヒー飲んでいるから来る？ と教えてみたけれど、それはさすがに恥ずかしすぎて無理らしい。

え？ それを毎朝のようにしている私の立場は……？


なんなら、飲み会に行っても会社の人からは全然口説かれなくなった。
若干男性社員からは避けられている雰囲気さえ感じる。

気のせいだといいんだけど。

赤井さんと安室さんが会社の廊下で喧嘩なんかして、注目を浴びるからだよ。

あんな柄が悪い人と知り合いだと思われたから、避けられているんだ。

私が昼食時、楽しそうな合コンの話を聞きながらしょんぼりしていたら、まあまあと、総務部のユカちゃん(同期)が声をかけてきてくれた。

「Aちゃん、今日もお弁当？ いつも彩り良いし栄養バランスもばっちしだし、ほんっとおいしそうだよね！
　こんなお弁当が作れるなら、すぐに彼氏できるって！」

ええ、まあ。これが私の作ったお弁当であれば、ですが。
実際はあれこれ忙しいはずの隣人がその忙しさの合間を縫って毎日のように作ってくれるだけなので。

女子力高いのは、隣に住む金髪で褐色の肌を持ち仕事もバリバリにこなす上に生活力がエベレスト級に高いイケメン(29)です。

最近は日曜日の朝から一緒にランニングを強要されています。
慣れれば楽に走れるようになるって言うけど、そんな日は永遠に来ない気がする。おかげで月曜日は朝から筋肉痛。

――とはいえないので、あいまいに笑って、

「そうだといいなあ、ありがとう、ユカちゃん」と言った。

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