test of courage14 ページ9
扉を開ければ、そこはよくあるビルのエントランスだった。
奥にエレベーターが見える。
目の前には爆弾を身体に巻き付けた女。
その女に拳銃を突きつけられて、泣きじゃくっている元太君と彼よりもずっと小さい見知らぬ女の子。
女を囲むように、安っぽいスーツを着崩した二人の男が立っていて女に向けて拳銃を向けている。
「女一人と言ったはず」
「伝言ミスだな。そんなことは聞いてない。
子どもなんざを伝言に使おうとするからそうなる。
とりあえず、子供を解放してもらおうか」
入口に立ち尽くし、足を踏み入れないまま昴さんがそう言った。
怒りを孕んだ、ぞくっとするほど冷たい声が空虚なエントランスに響く。
「中に入って扉をしめ――」
くすんだグレイのスーツを身に着けた、向かって左側の男が口を開きつつこちらに拳銃を向けた。
しかし、男の言葉が全て終わらぬうちに、昴さんは拳銃を抜き正確に二人の男の手を撃ち抜いた。直後、膝を打ち、2人の男を跪かせるまでもほんの一瞬だった。
重たい音を立てて、2丁の拳銃が床に転がる。
火薬に混ざった鉄を帯びた血液の匂いと肉片の焦げた匂いに、ひどく気分が悪くなったがここで倒れこんでいる余裕はない。
「走れ！」
元太君は驚いた顔をしていたが、すぐに小さな女の子の手を取り振り向きもせず駆け出して行った。
私のそばを通り抜ける時、小さな風が吹くのを感じた。
その直後、突然、何の前触れもなく昴さんは私の手を離し私を突き飛ばす。
私は床に倒れこんだ。
――一瞬の後、後ろからまっすぐ飛んできた弾丸に貫かれ、爆弾を巻かれた女が膝をついて倒れた。
そのままあそこに立っていれば、おそらく私は背中から銃で撃たれていたはず。
「へえ、一般人が拳銃を持っているとはね」
ビルの入り口から、ひどく冷たい、それでいてどこか歪さを感じさせる声が響いてきて背中が粟立つ。
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まつり(プロフ) - わたしさん» そんなに読んでもらってるなんて嬉しすぎます！こちらこそ、読んでいただいてありがとうございますー！ (12月31日 21時) (
レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
わたし(プロフ) - 本っ当に大好きで読むのも二三回目です。展開わかっていてもキュンキュンするし、まつりさんのかく沖矢昴が本当にかっこよくて理想すぎてだいすきです。なんでも出来てスマートに手を引いてくれる感じが堪らなくすきです、書いてくれてありがとうございます(;_;) (12月29日 4時) (レス) @page41 id: 2b3cd5dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白くて一気に読みました！！安室さん編があるの嬉しすぎます！！ (5月12日 5時) (レス) @page41 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - チミさん» わあ、嬉しいコメントありがとうございます！こちらこそ、そんなに楽しんでいただけて幸せです。ありがとうございました。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。 (2022年8月20日 21時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
チミ(プロフ) - この作品本当に本当に大好きで、毎回更新が本当に本当に楽しみで、なんと言ったらいいのか、とにかく大好きなんです！！出会えて最高でした〜〜！！素敵な作品ありがとうございます！！！！！！！！ (2022年8月20日 20時) (レス) @page34 id: 5432b7d0cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつり
| 作成日時：2022年8月17日 9時
