test of courage13 ページ8
「あなたが、沖矢さん……そして、江戸川さんよね?FBIのジョディです。
上司から話は聞いているわ」
駐車場を出たところで、ジョディさんから声をかけられた。
「彼女の付き添い、代わりますよ?」
そういえば、指名されたのは私なんだから昴さんが来る必要はない。
「結構」
それに対する昴さんの答えはシンプルだった。
「表には日本の警察が待機しているようなので、ここにいるけれど……」
「ではこのまま、誰も入らないように見張っていてください。中の人数が増えるのは困る。少年と彼女がここから出た後で、裏から入れるならそれは止めません」
「……きっとそういうってクールキッド、コナン君が言っていました。
これ、持って行って。
きっと役に立つと思う。もう一つは私が持っているわ」
私と昴さんは探偵バッジを渡された。私はスーツのポケットに入れる。
「ねえ、私表から一人で行くから、昴さんは裏から入れば? 元々呼ばれたのは私だけなんだし」
足早に歩きながら昴さんに言う。
「君の手は二度と離さないと言ったはずだ」
返ってきた声は、耳にしたことがないほど、固く冷たいものだった。
「――でも」
いつも必ず私の歩幅に合わせてくれる彼だが、今はそうではない。
ぐいぐいと私を引っ張るかのように足をすすめる。
「君の言いたいことはわかる。でも、これは譲れない。
いい? 現場経験が豊富なのは俺だ。ここからは俺の指示に従ってくれる約束だろう?」
「そのプラン、昴さんもきちんと生きて帰る前提だよね?」
ひどく嫌な予感がして彼を見上げたけれど、もう、私に視線を向けてはくれなかった。
「二発目も威嚇射撃とは限らん。急ごう」
さびれたビルの表に回り、今はもう自動では開かないガラスの扉に手をかけた。
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まつり(プロフ) - わたしさん» そんなに読んでもらってるなんて嬉しすぎます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございますー! (12月31日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
わたし(プロフ) - 本っ当に大好きで読むのも二三回目です。展開わかっていてもキュンキュンするし、まつりさんのかく沖矢昴が本当にかっこよくて理想すぎてだいすきです。なんでも出来てスマートに手を引いてくれる感じが堪らなくすきです、書いてくれてありがとうございます(;_;) (12月29日 4時) (レス) @page41 id: 2b3cd5dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白くて一気に読みました!!安室さん編があるの嬉しすぎます!! (5月12日 5時) (レス) @page41 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - チミさん» わあ、嬉しいコメントありがとうございます!こちらこそ、そんなに楽しんでいただけて幸せです。ありがとうございました。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。 (2022年8月20日 21時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
チミ(プロフ) - この作品本当に本当に大好きで、毎回更新が本当に本当に楽しみで、なんと言ったらいいのか、とにかく大好きなんです!!出会えて最高でした〜〜!!素敵な作品ありがとうございます!!!!!!!! (2022年8月20日 20時) (レス) @page34 id: 5432b7d0cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月17日 9時