test of courage10 ページ5
「昴さん、それ、私のもあるよね?」
一瞬、彼の動きが止まった。
諦めたように息を吐き、私に目を向けた顔は、いつもの甘い微笑を伴っている。
「構わんが――。よほど必要になるまでは、持っていることすら悟られないようにしてほしい。
約束できる?」
「わかった」
頷いた私の頭を左手で抱き寄せ、いい子だと微笑んで唇を重ねてくる様子は、いつもとなんら変わりなくて、一瞬脳が、ここは自宅のベッドの上なんじゃないかと錯覚してしまいそうになる。
「元太君、大丈夫かな」
「犯人の全貌がわかっているわけではないが、おそらく、子供には手を出さないはず。そしてもちろん、君にも何もさせない。だから、全面的に俺を信じて――何があっても」
秀一さんの声と口調でそう言うと、「沖矢昴」としてはいつも細めている瞳を開き、そこに私を映した。
私が頷いたのを確認すると、グリーンの瞳が甘く柔らかい微笑む。約束したからな、と、もう一度確かめるように唇が重なり、そっと離れた。
冷たい拳銃を手に取り、スカートの下にレッグホルスターをつけ、そこに取り付けた。
昴さんはインカムを付けスマホを鳴らす。
「あとどのくらい?
そうですか。待ちたいところですが、少年の安否が気がかりです」
「沖矢昴」の声と口調でそこまでいうと、車を降りたので、私はその後に続く言葉を聞くことはできなかった。
test of courage11―沖矢side―→←test of courage9
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まつり(プロフ) - わたしさん» そんなに読んでもらってるなんて嬉しすぎます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございますー! (12月31日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
わたし(プロフ) - 本っ当に大好きで読むのも二三回目です。展開わかっていてもキュンキュンするし、まつりさんのかく沖矢昴が本当にかっこよくて理想すぎてだいすきです。なんでも出来てスマートに手を引いてくれる感じが堪らなくすきです、書いてくれてありがとうございます(;_;) (12月29日 4時) (レス) @page41 id: 2b3cd5dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白くて一気に読みました!!安室さん編があるの嬉しすぎます!! (5月12日 5時) (レス) @page41 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - チミさん» わあ、嬉しいコメントありがとうございます!こちらこそ、そんなに楽しんでいただけて幸せです。ありがとうございました。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。 (2022年8月20日 21時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
チミ(プロフ) - この作品本当に本当に大好きで、毎回更新が本当に本当に楽しみで、なんと言ったらいいのか、とにかく大好きなんです!!出会えて最高でした〜〜!!素敵な作品ありがとうございます!!!!!!!! (2022年8月20日 20時) (レス) @page34 id: 5432b7d0cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月17日 9時