True End1（「おまけ」総集編＋39） ページ37
秋になっても、冬になっても、秀一さんの記憶は戻らなかった。
でも、記憶が戻らなくても、2人の距離は徐々に縮まっていったし、私はそれでもいいと思っていた。
――12月に入ったら、対組織の動きがいよいよ佳境に入ってきて、私は工藤邸には居られなくなったし、いよいよ、秀一さんと顔を合わせる機会も減ってしまった。
そして、今日は12月24日。クリスマスイブだ。
今年の年末はどうしよう――、さすがにもう船上パーティには参加したくないよね。
大学で講義を受けていた私は、窓の向こう、珍しく都心に降り積もる雪を眺めながらそんなことを考えていた。
この一週間、全く秀一さんからの連絡がない。
それでも、一昨日までは電話をかけたら出てくれたんだけどな。
「きっともうすぐ終わる。年末は一緒に過ごせるから待っていて」
そう言ってくれたのが最後だった。
昨夜も今朝も、一切連絡がない。
講義中、スマホの着信ランプが光った。
一番後ろの席にいた私は、荷物を持って教室を抜け出す。
「もしもし？」
「こんな時間に済まない、安室だ」
全然安室さんの話し方ではなかったけれど、切羽詰まった口調だったしそれに突っ込むことができなかった。
「――君のところに、赤井秀一は来ていないか？」
「来てないですよ……」
安室さんの話だと、昨日の昼過ぎ、本当に「最後の決着」がついて、確かにこちら側の勝利が確信できたんだって。
――こちらの勝利、最後の決着、組織の解体――って言われても、私にはふわっとしか意味が分からないけれど。でも、それはきっと私の父を撃った人たちとも関係しているんだよね。
そして、赤井秀一が死を偽装しなければいけなかったのも、行方不明の父親を捜していたのも、トムが行方をくらませたのも、私の論文が狙われたのも、すべてその「組織」のせい。
でも、その時に爆風で飛ばされた秀一さんは大けがをしたという。
「今朝までは確かに病院に入院していたのに、姿が見えなくなってしまって――。君のところかと思ったんだが、違ったみたいだな。余計な心配をかけてすまない。姿が見つかり次第連絡するから動かずに待っていて――君が動くとすれ違うかもしれないから」
そんなことを言われても、動かずに待てるわけがない。
不安に駆られた講義中で静かな大学の廊下に足音を響かせながら、階段を駆け下りる。
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まつり(プロフ) - わたしさん» そんなに読んでもらってるなんて嬉しすぎます！こちらこそ、読んでいただいてありがとうございますー！ (12月31日 21時) (
レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
わたし(プロフ) - 本っ当に大好きで読むのも二三回目です。展開わかっていてもキュンキュンするし、まつりさんのかく沖矢昴が本当にかっこよくて理想すぎてだいすきです。なんでも出来てスマートに手を引いてくれる感じが堪らなくすきです、書いてくれてありがとうございます(;_;) (12月29日 4時) (レス) @page41 id: 2b3cd5dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白くて一気に読みました！！安室さん編があるの嬉しすぎます！！ (5月12日 5時) (レス) @page41 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - チミさん» わあ、嬉しいコメントありがとうございます！こちらこそ、そんなに楽しんでいただけて幸せです。ありがとうございました。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。 (2022年8月20日 21時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
チミ(プロフ) - この作品本当に本当に大好きで、毎回更新が本当に本当に楽しみで、なんと言ったらいいのか、とにかく大好きなんです！！出会えて最高でした〜〜！！素敵な作品ありがとうございます！！！！！！！！ (2022年8月20日 20時) (レス) @page34 id: 5432b7d0cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつり
| 作成日時：2022年8月17日 9時
