test of courage9 ページ4
誰かとスマホで話していた昴さんは電話を切ると、歩美ちゃんと光彦君を連れて車から降りる。
私もそれに続こうとしたが、遮られ「助手席に移動して置いて」と言われた。
「由美さん、子供たちをお願いします」
「ええ、事情は警部に話しました。すぐに応援が来るはずなんですが――」
「歩美も一緒に行くよ?」
「僕だって!」
由美さんに手を掴まれた歩美ちゃんと光彦君が、泣きそうな顔でこちらを見ている。
「なるほど。一緒に行きたい気持ちはよくわかります。
でも、友達の無事を信じてここで待つのも立派な勇気です。
少なくとも私には、彼女と元太君の二人を守るので手一杯だ」
昴さんは諭すようにそう言うと、すぐに車に戻ってくると即座にエンジンをかけた。
「A、車を裏の立体駐車場に止めなおそう。そこで、服の下に防弾チョッキを着てくれないか。
何、そんなに深刻な顔をする必要はない。念のためだ」
大きな掌が場違いなほど優しく、私の頭を撫でた。
「どうして私が元太君を人質に呼び出されるの?」
「さあ、さっぱりわからん。
でもまあ、君の本のファンではないし、君に落ち度があるはずもない。
大丈夫、Aの命は俺が守るから心配はいらない」
車の窓ガラスにタオルをかけ、人目を遮り、シャツの下に防弾チョッキを仕込んだ。さすがにそれだけでは不自然なので、上にサマージャケットを羽織る。
その間にあれこれと、銃を物色し準備している昴さんの醸し出す空気はひどく冷たいものだった。
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まつり(プロフ) - わたしさん» そんなに読んでもらってるなんて嬉しすぎます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございますー! (12月31日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
わたし(プロフ) - 本っ当に大好きで読むのも二三回目です。展開わかっていてもキュンキュンするし、まつりさんのかく沖矢昴が本当にかっこよくて理想すぎてだいすきです。なんでも出来てスマートに手を引いてくれる感じが堪らなくすきです、書いてくれてありがとうございます(;_;) (12月29日 4時) (レス) @page41 id: 2b3cd5dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白くて一気に読みました!!安室さん編があるの嬉しすぎます!! (5月12日 5時) (レス) @page41 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - チミさん» わあ、嬉しいコメントありがとうございます!こちらこそ、そんなに楽しんでいただけて幸せです。ありがとうございました。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。 (2022年8月20日 21時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
チミ(プロフ) - この作品本当に本当に大好きで、毎回更新が本当に本当に楽しみで、なんと言ったらいいのか、とにかく大好きなんです!!出会えて最高でした〜〜!!素敵な作品ありがとうございます!!!!!!!! (2022年8月20日 20時) (レス) @page34 id: 5432b7d0cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月17日 9時