lost11 ページ26
翌日、病院に安室さんが風見さんとともにやってきた。
私は同じ病室で作業をしてくれていたJの目を見る。
彼は頷いて部屋から出て行ってくれた。
この時間に赤井さんは「沖矢昴」に変装すればいいと思う。
「Aさん、具合はどうですか？」
「ええ、少しずつですが食事もとれるようになってきたし、きっと大丈夫です。
安室さんも少しは顔色が良くなってきたんじゃないですか？」
「ああ――僕のことは別に。
ところで、沖矢くんと一緒に話をしなくても？」
安室さんは私が一人で病室にいることを不思議に思ったみたい。
「実は、沖矢さんは私のこときれいさっぱり忘れちゃったんで、できたら別でお話してもらえると助かります。
それで、良かったら安室さんに相談したいことがあって。
どこか、私が引っ越しても安心そうなマンションとかアパート、ないですか？
私、家を出ないといけなくて」
どこかで言葉を区切るとまた泣いてしまいそうだから一気に話した。
いくらなんでも、こんな状況で同居し続けるわけにはいかない。
やっぱりあんなに冷たい赤井さん相手にどう対応すればいいのかまるでわからない。
また、事情が変わることがあるのならその時に考えればいいだけだ。
「わかりました。セキュリティの高い物件を見繕って連絡しますね。――予算とか、ありますか？」
「安全であれば、少しくらいどっちでも――」
昨夜のうちに涙なんて枯れ果てたから、もう、泣かないと思っていたけれど無理だった。
「心配しなくて、大丈夫です。きっといい物件を見つけてくるから、僕に任せて。引っ越しの手はずを整えるのも協力します。
他に何か望みがあれば、いつでも連絡してください。留守電も必ず聞くので、遠慮せず入れて？ 退院した後でも、ね？」
安室さんがとても困った顔で私を見るので、直視できなくて、掛け布団に顔を埋めた。
「事件の顛末を今話しても仕方なさそうですね。書類にして後日、届けます。
気が向いたら目を通してください。もう二度と、あんな目にあなたを合わせたりしないので――」
他に何か聞いてほしい話はある？ と聞かれたけれど、私はもう言葉が出てこなくて、頭を横に振るしかなかった。
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まつり(プロフ) - わたしさん» そんなに読んでもらってるなんて嬉しすぎます！こちらこそ、読んでいただいてありがとうございますー！ (12月31日 21時) (
レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
わたし(プロフ) - 本っ当に大好きで読むのも二三回目です。展開わかっていてもキュンキュンするし、まつりさんのかく沖矢昴が本当にかっこよくて理想すぎてだいすきです。なんでも出来てスマートに手を引いてくれる感じが堪らなくすきです、書いてくれてありがとうございます(;_;) (12月29日 4時) (レス) @page41 id: 2b3cd5dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白くて一気に読みました！！安室さん編があるの嬉しすぎます！！ (5月12日 5時) (レス) @page41 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - チミさん» わあ、嬉しいコメントありがとうございます！こちらこそ、そんなに楽しんでいただけて幸せです。ありがとうございました。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。 (2022年8月20日 21時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
チミ(プロフ) - この作品本当に本当に大好きで、毎回更新が本当に本当に楽しみで、なんと言ったらいいのか、とにかく大好きなんです！！出会えて最高でした〜〜！！素敵な作品ありがとうございます！！！！！！！！ (2022年8月20日 20時) (レス) @page34 id: 5432b7d0cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつり
| 作成日時：2022年8月17日 9時
