lost5 ページ20
『そう。あいつの洞察力と推理力は飛びぬけて優れている。だったら、推理して辿り着くよ。たとえ記憶がなくっても』
『そんなことできるの？』
涙を拭いて顔を上げると、Jは端正な顔を崩して笑みを見せた。
『まさか、出来ないと思ってる？ 昨日だって俺たちがキッチンでサンドイッチの会話しか聞いてないはずなのに、Aはきっとあのパン屋にいるから迎えに行くってうきうきしながら出かけてたぜ？』
そういえば、パン屋を出たときに昴さんがとても嬉しそうにそこにいたなと思い出す。
ほんの昨日のことなのにすごく遠い過去の出来事のようだった。
でも、それは彼が私のことを好きだったからだ。
――今は、そうじゃない。
『でも、私のこと忘れているくらいでちょうどいいのかも。
もうこんな事故に巻き込まれることだってないよ、きっと』
再びうつむく私の頭を、Jがガシガシと乱暴に撫でる。
『いやいや、あいつの本業なんだと思ってんの？自ら事故に突っ込んでいくような仕事やってんだぜ。
なんなら、素行の良くない組織にまで潜入していたくらいだし。
こんなの割と日常だって。君がいなくなったら、もっと危険な業務に邁進するかもよ？』
『だったら、どうして私のことだけ忘れるのよ――』
『同じように思ったんじゃない？
【自分のことを忘れてくれれば二度と危険な目にあわないんじゃないか】って。
――仮に俺なら、そう思うし、そうする』
――『Emmy』
気を失う瞬間、Jが私に向かってそう言ったことを思い出した。
顔を上げると、彼は少し困ったように形の良い青い瞳を細めて笑う。
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まつり(プロフ) - わたしさん» そんなに読んでもらってるなんて嬉しすぎます！こちらこそ、読んでいただいてありがとうございますー！ (12月31日 21時) (
レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
わたし(プロフ) - 本っ当に大好きで読むのも二三回目です。展開わかっていてもキュンキュンするし、まつりさんのかく沖矢昴が本当にかっこよくて理想すぎてだいすきです。なんでも出来てスマートに手を引いてくれる感じが堪らなくすきです、書いてくれてありがとうございます(;_;) (12月29日 4時) (レス) @page41 id: 2b3cd5dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白くて一気に読みました！！安室さん編があるの嬉しすぎます！！ (5月12日 5時) (レス) @page41 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - チミさん» わあ、嬉しいコメントありがとうございます！こちらこそ、そんなに楽しんでいただけて幸せです。ありがとうございました。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。 (2022年8月20日 21時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
チミ(プロフ) - この作品本当に本当に大好きで、毎回更新が本当に本当に楽しみで、なんと言ったらいいのか、とにかく大好きなんです！！出会えて最高でした〜〜！！素敵な作品ありがとうございます！！！！！！！！ (2022年8月20日 20時) (レス) @page34 id: 5432b7d0cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつり
| 作成日時：2022年8月17日 9時
