lost2 ページ17
次に目が覚めたのは明るい時間帯だった。
Jは一度目が覚めた私に安心したのか、着替えをすませていた。
グレイのシャツにチノパンという、カジュアルオフィスともいえそうな格好をしていた。
私はあれこれ検査した後、医師から少しずつ食事をして様子を見ようと言われた。
遠藤先生も駆けつけてくれて、心理面の心配をあれこれしてくれた。
そうして、すごくバタバタしていたので私のところに、赤井秀一の上司であるという、ジェイムズ・ブラックが訪れたのはもう14時も過ぎた頃だった。
Jとは顔見知りのようで、僅かに言葉を交わした後、Jは『後で戻ってくる。ジェイムズ・ブラックは本物のシュウの上司だよ』と私に言い残して出て行った。
『挨拶が遅くなって済まない。このたびは大変だったな。気の毒としか言いようがない。赤井君から君の話は聞いている。英語が堪能と聞いているが、大丈夫だろうか?』
ロマンスグレイで、口ひげを生やした紳士は心配げにそう問いかけてきた。
『はい、聞き取れます。ご期待に沿えるほど堪能ではありませんが、会話は英語で構いません』
『そうか――そういえば、彼に提供した射撃場、とても気に入ってくれていたと聞いたが』
ジェイムズは他の人が知らないはずの情報を口にして、間違いなく赤井秀一の上司であることを端的に証明した。
『はい。彼もとても気に入っていました。私まで便乗させていただいて、感謝しています』
『それは良かった。赤井君の手術も無事成功したよ』
『――良かった』
私は心底ほっとした。
『赤井さんに、会えますか?』
『君が動けるようになれば。
赤井を連れてきたいのだが、彼の調子もまだ万全ではなくてね。寝ていることも多いし、それに――』
何かを言いよどむ、ジェイムズの様子がひどく気になり気持ちが焦る。
『私、車いすに乗れば移動できます』
『あまり、無理しない方がいい』
それでも、どうしてもどうしても、たった一目でもいいから彼の姿が見たくて。
私は痛みを押して車いすに乗った。
105人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まつり(プロフ) - わたしさん» そんなに読んでもらってるなんて嬉しすぎます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございますー! (12月31日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
わたし(プロフ) - 本っ当に大好きで読むのも二三回目です。展開わかっていてもキュンキュンするし、まつりさんのかく沖矢昴が本当にかっこよくて理想すぎてだいすきです。なんでも出来てスマートに手を引いてくれる感じが堪らなくすきです、書いてくれてありがとうございます(;_;) (12月29日 4時) (レス) @page41 id: 2b3cd5dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白くて一気に読みました!!安室さん編があるの嬉しすぎます!! (5月12日 5時) (レス) @page41 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - チミさん» わあ、嬉しいコメントありがとうございます!こちらこそ、そんなに楽しんでいただけて幸せです。ありがとうございました。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。 (2022年8月20日 21時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
チミ(プロフ) - この作品本当に本当に大好きで、毎回更新が本当に本当に楽しみで、なんと言ったらいいのか、とにかく大好きなんです!!出会えて最高でした〜〜!!素敵な作品ありがとうございます!!!!!!!! (2022年8月20日 20時) (レス) @page34 id: 5432b7d0cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2022年8月17日 9時