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test of courage18 ページ13

「Excuse me」と声がして、誰かが何事か話した後、安室さんの力が緩んだ。

代わりに別の誰かにふわりと抱き上げられどこかに運ばれながらも、嫌だ嫌だと首を振る私の腕に何かが刺さった気がする。

鎮静剤とかそういうのかもしれない。
あるいは、単に体の血液が減ったせいなのか。

瞼が急激に重くなる。


いやだ……ここで気を失うわけにはいかないの。

「だめ。……すばるさん……」

必死に唇を動かしたつもりだが、声が出ているかどうかももはや怪しい。



「大丈夫。彼の正体が隠匿できるよう、FBIの指揮下に置く。日本の警察や公安には渡さない。
 だから安心して、身を任せて。俺が責任をもって彼(シュウ)の正体を隠すから」

周りに聞こえないよう囁くように英語を話すJの声が聴覚を取り戻した私の耳元で響き、そこで初めて私を抱えているのがJだと気づいた。




「Trust me(俺を信じて),Emmy(エミ―)」




今、なんていった?





昔、たった一人、私の苗字「江戸川」をもじって、エディと呼んでいた人がいた。高校生だった私が「エディは基本、男性のニックネーム」と知ってクレームを付けた後、その人は気にすることないのにと笑って、「Emmy」に改めてくれたっけ。

私は日本語を十分に理解しない彼のために英語を覚えた。彼ともっと話がしたくて、物理工学の勉強にのめり込んだ。背伸びしたくて、あれこれ一気に頭に詰め込み大人びたことを提案して彼の気を惹こうと頑張っても見た。



予定通りアメリカに帰国した彼――トム・スミス―−は、ある時からぷつりと連絡が途絶えてしまった。



余計なことを思い出してしまったけれど、Ladyの聞き間違えだったのかもしれない。




私は残る力を振り絞ってJのシャツを掴み、そこで気を失った。

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設定タグ:安室透 , 沖矢昴 , 名探偵コナン   
作品ジャンル:アニメ
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まつり(プロフ) - わたしさん» そんなに読んでもらってるなんて嬉しすぎます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございますー! (12月31日 21時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
わたし(プロフ) - 本っ当に大好きで読むのも二三回目です。展開わかっていてもキュンキュンするし、まつりさんのかく沖矢昴が本当にかっこよくて理想すぎてだいすきです。なんでも出来てスマートに手を引いてくれる感じが堪らなくすきです、書いてくれてありがとうございます(;_;) (12月29日 4時) (レス) @page41 id: 2b3cd5dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白くて一気に読みました!!安室さん編があるの嬉しすぎます!! (5月12日 5時) (レス) @page41 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - チミさん» わあ、嬉しいコメントありがとうございます!こちらこそ、そんなに楽しんでいただけて幸せです。ありがとうございました。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。 (2022年8月20日 21時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
チミ(プロフ) - この作品本当に本当に大好きで、毎回更新が本当に本当に楽しみで、なんと言ったらいいのか、とにかく大好きなんです!!出会えて最高でした〜〜!!素敵な作品ありがとうございます!!!!!!!! (2022年8月20日 20時) (レス) @page34 id: 5432b7d0cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月17日 9時

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