ボディガードは不要です8【沖矢昴】【安室透】

test of courage7―〇〇side― ページ2

風見side


ワーカホリックにも限度と言うものがあるだろう――

気絶するように病院のベッドで寝ている降谷さんを見て、ため息の1つもつきたくなった。

暴力団組織の跡目争いに巻き込まれ、腕に負った傷をろくに治すことなく業務に邁進していた降谷さん。組織の仕事を請け負った折に、そこにナイフで傷を受けてさらなる失血を余儀なくされた。

気絶していたところを、顔見知りの江戸川Aに助けられて、今病院に半ば強制的に入院中――


ではあるが、この様子だと昨夜は夜通し誰かと仕事をしていたようだ。

そこまで命を削って仕事に打ち込むのは、やめてほしい。命あっての仕事だということを、彼ほど理解している人もそうはいないだろうに――。


持参した資料に改めて目を通す。

公安内に裏切り者がいるなんて、考えたくないのが正直なところだがそうもいっていられないだろう。

昼近く、降谷さんのスマホが鳴った。仕事用のスマホなので遠慮なく出る。

「はい、風見」

「沖矢です。安室さんはどうされました？」

静かな声ではあったが、どこか、緊迫している様子が見られる。

「『安室さん』なら今、寝ているが――」

寝ているというよりは、気絶しているといった方が近い。

「悪いが叩き起こしていただきたい」

電話の声がそう言ったのと、降谷さんが目を開けてこちらに手を伸ばしたのはほぼ同時だった。

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