information6―沖矢side― ページ36
※時刻はinformation1、Aが昴の車を降りたところまでさかのぼる。
Aの無事を祈って、キスをし、車から見送った。
危険が迫っていることを、本人に伝えた方が良いのだろうか。
――でも、いつどこで誰が迫ってくるかなんて全く分からないのに、何に警戒しろと伝えればよいのかわからない。
護身のために拳銃を持ち歩けと言うわけにもいかない。
ようやく、PTSDから脱しつつあるというのに、ただいたずらに彼女を怯えさせるだけならそんな忠告はしない方がいい。
俺は大学でのテロ事件後Aが搬送された公安御用達の病院に足を向け、顔なじみとなった遠藤先生を捕まえ、「どうしても『安室さん』に伝えたいことがあるのだが、会うわけにはいかないか?」と交渉してみた。
難航した場合の別プランもいくつか検討はしていたのだが、意外にもすんなりと合わせてくれた。
あの時彼女のいた病室に、今は降谷君が一人寝ていた。
「――どうしてここにいることが?」
「昨日の朝、彼女と会ったでしょう? ひどく心配していたので、私がこうして代わりにお見舞いに来させていただいたというわけです。
その時に、あなたは大けがをしていると聞いたし、前回彼女がここに世話になったときここは『公安御用達』と遠藤先生から耳にしていたもので。
さすがにテロ事件の現場の最前線で拳銃を手にしていた人が『公安とは無関係』とは仰いませんよね」
面倒なやりとりは先に済ませたかったので、こちらのカードは全部見せる。
「ずいぶん察しがいいんだな。
まるでFBIの赤井秀一みたいだ」
ひどく不機嫌な調子で降谷君はそっぽを向いたままそういった。
口調を取り繕わないのは、もはや正体がばれていると悟ったからか。
左腕に巻かれた包帯が痛々しい。
「おや、人気者ですね、『FBIの赤井さん』。愛しの彼女もその方の訃報を聞いてしばらく落ち込んでいました。
察しがいい人なんて、世の中にごまんといますよ。
そんなことより、公安から一般人の画像が流出した件はご存知ですか?」
ここで、赤井の話に時間を取られるわけにはいかない。
「沖矢、お前、何の話をしている?」
降谷君の顔色が変わった。
information7―沖矢side―→←information5
121人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時