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「君はもう有名人なんだから、素顔のまま容易に出歩かない方がいい」
昴さんがそう言って、強引に私に別人風のメイクを施したので、今の私はいつもとだいぶ雰囲気が異なり、スーツの似合うOL風に仕上がっている。
長い髪を綺麗にまとめあげ、肩までのウィッグで髪の長さまで変えて見せる徹底ぶり。有希子さんの趣味で、あれこれと大量の服があるので変装グッズには事欠かなかった。
Jは相変わらずの軽装だったが、「では俺も、現地では別人としてお会いしよう。目印はこの腕時計。今日限りのスマホも用意したので、心配だったらこれにかけて」と、私のスマホからその番号に電話をかけさせた後、個性的な腕時計を見せてそういうと、荷物を持って出て行った。
「なるほど、確かに君が事あるごとに俺の匂いを確認するのがわかる」
昴さんはいつもとすっかり雰囲気の変わった私を抱き寄せ、身をかがめて息を吸った。
「――改めてそう言われると恥ずかしいんですけど」
「ほら、もっとクールにふるまった方が今の君には似合っている。
もちろん、俺は普段の君が一番好きだが」
さあ、出かけようと車に乗せてくれる。
「昴さんは今日は何をするの?」
「話を聞きたい人がいるから会ってくるつもりです。
あなたの向かう場所とそれほど離れていないので丁度良かった」
「そうなんだ」
沖矢昴としての活動範囲が徐々に広がっていく。彼もどんどん忙しくなるに違いない。
「ああ、もちろん男性なので心配しないで」
「別にそういうことを心配しているわけでは――!」
「すぐやきもち妬くんだから、可愛い子、心配しなくても私が好きなのはAさんだけですよ」と、車を降りる間際、キスされて私の言葉は封じられた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時