disclosure12―沖矢side― ページ28
「うち(ビューロー)にもいるのかねぇ」
しみじみとJが呟く。
「それは、露見する前にお前が捕まえてくれるんだろ?」
「……そうだな、チェック体制を強化しておこう……」
大抵のことを笑って受け流すJが、珍しく重たい口調でそう言った。
「で、このファイルを受け取った相手は今どこに?」
「それが2日前からの足取りが追えなくてね。いっそ誰かに消されたならいいんだけど……。最悪、来日した可能性もゼロじゃない」
Jは紫煙を吐き出した。
面倒なほど海外サーバを経由しているような情報も簡単に追いかける男が、「足取りを追えない」というのはただごとではない気がした。
「今日はAを連れ出してくれるんだろう?」彼女は、傍に居ない方が安全だろう。
「ああ、その予定だ。
その方がシュウは動きやすいんだろう?」
「気は進まないが、公安の人間に心当たりがあってね。
沖矢昴として、会ってくる。共通点は既にあるから問題ない」
とはいえ、察しの良い男だ。安易に接触するのはできうる限り避けたいのだが――。
「気をつけろよ。お前の正体がばれたら自分が殺されるだけじゃなくていろんなところに迷惑がかかるんだろう?」
「まあな。
――それはそうだが」
俺は、続けて口にしかけた言葉を飲み込んだ。
「そろそろ彼女が起きる時間だ」
俺は察しの良いJに何かを突っ込まれる前に、彼の部屋を後にした。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時