information13―沖矢side― ページ43
PC作業をする俺の傍で、AはJと1時間近くどうでもいい話を楽しそうに交わしていた。
「シュウ、Jの言っていること本当?」と事あるごとに確認してくる様子は微笑ましい。以前は全くアルコールに酔う様子を見せなかったが、それは周りに対する警戒感や緊張感も手伝っていたのだろう。
うつらうつらし始めたAに「運んであげるから、眠っていい」と囁いてソファに導けば、ほどなく素直に眠ってしまった。
「シュウ……まさか、クスリを盛ったりしてないよな」
深い眠りについたAを自室に運んで戻ってきたら、Jがそう言った。
人の女性関係に踏み込むような男ではなかったはずだが、Aのことは格別に気になるのだろうか。
「ああ。身体に無理させるようなことはしてないし、妙な薬も盛ってない。今日は彼女にしては珍しくハイペースだっただけだ」
「そうか――」Jは何か言いかけたが口をつぐみ、煙草に火をつける。
Aの前では吸わない俺に合わせていてくれた。Jは、意外とパッと見た雰囲気とは違い細かい気配りができる男だ。――もっとも、多くの場合そのような気配りができる上で、それでも一切しないのがJなのだが……。
「例の件はどうなった?」
テロリストとAの動画流出の件を指し、そう聞いてきた。
「家族写真は手に入れた。思いのほか仕事が早くて助かった。
どうやら、2日前に船で違法に出国したようだ。日本に密入国するとしたら、あと数日はかかるはず。密入国の現場を公安が抑えてくれれば一安心と言ったところだ」
俺はその情報を降谷くんから得て以降、片っ端から関係のありそうな船の情報を探っている。Jはその続きを引き受けると言い自分のPCを持ち出した。
information14―沖矢side―→←information12
121人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時