ボディガードは不要です5【沖矢昴】【安室透】

unmask10—沖矢side― ページ32

Aと、明け方までどうでもいいような他愛ない話に興じていた。
何度も笑顔を見せてくれたことを思えば、少しは気が紛れと考えてもいいのだろうか。

ここで煙草を吸う気になれないのは、君と話す時間が減るのがもったいないからだし、この部屋の匂いに煙草の匂いを紛れさせたくないからなのだが――。
何度かそう説明しても、全く耳に入れる気はなく、何度も煙草をせがむのは何故だったのだろう。

工藤邸に行って煙草を目の前で吸えば、何か納得するんだろうか。



うつらうつらしているAを、起こさないようにそっとソファの上に横たわらせる。
俺の膝を枕にして1時間でも眠ってくれればいいのだが――。


本人には言えないが、1つ気がかりなことがある。
彼女を人質にした犯人は、「彼女の命を助ける代わりに自分と自国の家族の安全を保障してくれ」とわめいていた――と優作氏は言うのだ。


マイナーな国の言葉で本当に良かったと思う。

万が一、Aがかの国の言葉を理解していたら、彼女は迷わず犯人に手を貸したかもしれない――と思うとぞっとする。




さて、工藤家には何時に顔を出そうか。
ボウヤが工藤邸に泊ったとしても、8時頃には学校に行くために家を出るはず。


10時を目安にすれば問題ないだろう、とあたりをつける。




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大人向け別作品を執筆中。短編予定です。リンクが貼れないので興味のある方は下記から【Sweet Summer Vacation】をどうぞ。

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