unmask9 ページ31
「今は無理でも――何かが終わったら、きっと戻れるんだよね?
戻れないとしても、何かが一区切りついた後、もう赤井さんのこと捜しまわる亡霊が消えてみんなが忘れた頃でいい。
だからもっと、――そうね。
どうして工学部を選んだのかとか、食事をおろそかにする理由とか、同じお酒ばっかり飲んでいる理由とか、煙草の銘柄を決めた理由とか、いつからショートスリーパーなのかとか。
そういうことが聴いてみたいかな」
「なるほど」
――あ、でも何でも聞いてくれるならやってほしいことがあるかも。
「あ、そういえば煙草吸わない?」
「この部屋では吸いません」
「赤井さんでも?」きっとヘビースモーカーに違いないと思ってるんだけど、という意味を込めて聞いてみれば、昴さんは私の言葉にやや首を傾げた後笑い出す。
「ええ、『赤井さん』でも」
「せっかく買ってきたのに」
「何か理由があるんですか?」
「教えないっ」それがうまく言葉にできないから、吸ってみて欲しいのに。
むっとして唇を尖らせると、昴さんは特に困った風もなく
「じゃあ、明日うちにおいで」と見当違いのことを言いだしてびっくりした。
「本当は今からでもいいんだけど、今ちょっと家主が帰ってきてるんで――。
さすがにこの時間は無理だから」
「でも、そこはあなたの家で――」私が踏み込んでいい領域なんかじゃないと思う。という言葉はキスに飲み込まれた。
「来て欲しい」
「わかった。じゃあ、お邪魔します――」
夜が明けるまで、何時間話しても全然話は尽きなかった。
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まつり(プロフ) - かるぴんさん» かるぴんさん、はじめまして。長々と続いていてすみません。はい、続きも書きますねー。まだ、いつ終わるかもわかりませんが引き続きお付き合いいただければ嬉しいです。 (2022年7月8日 20時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 引き込まれる文章であっという間にここまで読みました!とても面白いです!大変だとは思いますが、続きを心待ちにしています!お体に気をつけてください! (2022年7月8日 19時) (レス) @page16 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2022年7月7日 9時