バーベキュー1 ページ49
ピンポーン、と、呼び鈴が鳴る。
「はい」
別室で仕事をしていた秀一がインターフォンを押す。
昴さんの声に変えるのは忘れない。
「ああ、ボウヤ。
あいにく私は仕事なんです。
ええ、よろしければぜひ」
リビングで小説を読んでいた私に声をかけた。
「コナン君たちが、隣の阿笠邸でバーベキューをやるからと誘いに来てくれました。
行ってみてはどうですか?
子供たちも昨日のことでお詫びを伝えたいと言っているそうですよ。
ついでに、冷凍庫にある買いすぎたお肉を持って行ってもらえると私も助かります」
スイッチを切ってないからか、喋り方は昴さんだけど――。
秀一だよね?
こんな時私は、口調をどこに合わせたらいいのか戸惑ってしまう。
「わかりました。でも、秀一は? お昼ご飯食べないの?」
放っておいたら一日中、タバコとお酒とコーヒーだけで乗り切るタイプの人だってことはさすがにもう理解している。
秀一はペリドットの輝きを思わせる緑色の瞳を開き驚いた顔を見せた。
「Aが人の食生活に干渉するなんて――。これは大きな進歩だな」
くしゃりと頭を撫でて、気を付けていっておいでと見送ってくれる彼の表情はかなり嬉しそうだった。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月13日 17時