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自信過剰な彼氏4 ページ32
それなりににぎわいのあるレストランで食事を済ませた後は、彼に誘われるままにドライブデートに出かける。
それなりに車の多い首都高だが渋滞とまでは言えないだろう。
昴さんはほかの車の隙を縫うように器用に車を走らせる。
なかなかのスピードが出ているけれど、本人はいたって楽しそうなので心配はしていない。
秀一は心配になるほどのヘビースモーカーなのにタバコを吸わないのは、演じ分けなんだよね。
共通点を見つける方が難しい。
車が付いたのは、海沿いの美しい夜景が一望できる場所だった。こんなに美しいところなのに他に車はいない。
そういう穴場を見つけるのが得意なんだろうか。
私はまだ、ぼんやりとしか過去のことを思い出せないでいる。
「思い出さなくていいですよ」
「どうしてですか？ 昴さんとの楽しい思い出だってきっといっぱいあるんじゃないですか？」
「そんなの、今からたくさん作ればいいじゃないですか」
当たり前みたいに言うから笑ってしまう。
「本当にそう思ってます？」
汐を含んだ夜風が頬を撫でていく。ふわりと後ろから抱きしめられた。
「当然」
――突然、秀一の低い声で囁くのはずるい。反則。
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作者名：まつり
| 作成日時：2022年5月13日 17時
