目が覚めたら私の恋人は赤井秀一でした1【名探偵コナン】 (ページ25)

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美術館の下見5 ページ25

「Aさん、大丈夫？」

コナン君が素早く私の元に駆け付けスマホを拾うと、私の代わりに電話に出た。

「Aさん、問題ないよ。スマホが手から滑り落ちただけで、大丈夫。
　え？迎えに来るの？ Aさんどこにいるか知ってる？そうそう、合ってるけど――。ねえ、本当に仕事が終わったの？嘘じゃないよね？僕の方にクレームが回ってくるの嫌なんだけどな」

途中から段々子供の言葉づかいではなくなっているのが、少し面白くて私は我に返った。

「うん、わかった。そこは大丈夫、最初から昴さんの彼女だって紹介しているから心配しないで。Aさんに代わるね」

はいどうぞ、と、コナン君が私にスマホを返してくれた。

「A、今から迎えに行く。そこを動くな」

「だめだよ。自分で外に出られないって言ってたじゃない」

私は声を潜めて、とがめる口調でそう言った。

「もちろん、いつもの姿では出られない――」

彼はため息をつく。

かちり、と、電話越しに何かスイッチを入れた音がした。

「そのために、仮面をつけているって言いましたよね？あなたは私の素顔の方を仮面って思っているようですが。
いえ、別に忘れていても気にしないでください。何度だって伝えてあげますから、Aさん」

私が待っていた、声と口調。
大好きな人の、それが、今。

秀一としかつながってないはずの電話の向こうから聞こえてくる。

記憶がゆっくり、つながっていく。