美術館の下見1 ページ21
「『絵画を彩る秘宝たち』というのが今回の趣旨となっておる」
次郎吉さんの解説は続く。
その中の1つにビッグジュエルがある、というわけだ――
「すっごーい。こんなにたくさん!」
蘭さんが目を輝かせるのも無理はない。ため息が出るほど大きくて美しい宝石たちが、美術館の中央に美しく配置されていた。
「そうであろう? 美術館多しといえども、ここまで一流品が一挙にみられるのはここくらいのものよ」
次郎吉さんは満足げだ。
コナン君の瞳が鋭く光った。そして、何か言いたげに唇を開きかけたが、静かに閉じる。
「わあ、本当にすごいや。予告状はなんで書いてあったの?
深夜に取っていくのか、観客の目の前で鮮やかに取っていくのか――。
キッドはどうするんだろうねえ」
年相応の子供らしい口調には飾り気がない。
私はふと周りを見回した。
次郎吉さんとコナン君、園子さんと蘭さん、そして私。
そして、付き添いのスタッフが二名。先ほど昼食の時にも居た二人だ。
それ以外のスタッフは忙しそうに走り回っていた。立ち止まってここを見ている人なんていない。
下見をしているのは私たちだけ、ということなのね。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月13日 17時