危険なランチタイム2 ページ19
「変装――」
脳内に浮かんだ言葉をつい口に出してしまったのだろう。
ちょうど私にお茶を注ぎに来てくれた、くだんの青年がなぜか一瞬ぎょっとした顔で私を見る。
「すみません。独り言が漏れてましたね」
小声で詫びると、「いえいえ。キッドとの対決、僕が入社してからはこれが初めてなんでちょっとワクワクしているんです」と、青年がささやいてくる。
なるほど、フレッシュさあふれているのは新入社員だからなのね。
「ちょっと、園子。Aさんを一人にしてちゃ悪いわよ!」
蘭さんが気をつかってそう言ってくれたのは、単に園子さんの口から無限にあふれ出す怪盗キッドに対する愛の言葉を打ち切りたかっただけかもしれない。
「いえ、そんなことないです。蘭さん、ありがとう。私は園子さんのお話を聞いているの楽しいですよ。
本当に怪盗キッドがお好きなんですね」
「そうなんですよ、Aさんもわかりますよね?
神出鬼没で、演出過剰であれにときめかない女性なんてきっと世界で蘭だけよ。
こんな可愛い彼女を放って放浪するどっかの探偵野郎のことなんて忘れちゃえばいいのに。恋せよ乙女、花の命は短いのよ、蘭!」
次郎吉さんとの打ち合わせも終わり、子供らしくお弁当を食べていたコナン君が、なぜかそれを聞いて、盛大にむせた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月13日 17時