あの人の彼女1 ページ13
「えー? 今から園子お姉さんたちとランチなの? いいなあ。歩美も行きたかったけどお母さんと約束があるんだ。
元太君や光彦君だって、おうちでお母さん待ってるんだよね?」
三人の子供たちはそれぞれに予定があって残念だけど――と帰ってしまった。
もしかしたらこれ以上コナン君から説教されるのがいやなだけかもしれないけれど。
「Aさん、ごめんね。
どうしても僕行かないといけなくて」
「あら、私は別に一人でこの辺をゆっくりしていてもいいのよ。ランチだって、一人で食べられるし。子供じゃないから心配しないで?」
笑う私を真剣な目で見上げたコナン君は、首を横に振る。
「それじゃダメなんだ。
僕、お姉さんに何かあったら――、今度こそ、本当にあの人に合わせる顔がなくなっちゃうから」
思いつめた表情は、子供のものとは思えない。
重くて暗い翳りがあった。
「お姉さんのことは、僕が守らないとだめなんだ!」
張り詰めた声が悲痛に響く。
秀一とこの子の間に、いったに何があるというのかしら。
でも、気軽に聞けるような雰囲気ではない。
「大丈夫だよ。
コナン君が知っているかどうかわからないけれど、私この事故以前の記憶が全くないのよね。
それであの人は心配しているだけだと思う。
それ以降の記憶はなくなってないし、今から歩いてあの家に帰ることもできるよ?」
「そ――それはあの、まだ帰らない方がいいと思う。
お仕事しているかもだし、その、あの――」
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月13日 17時