散歩4 ページ11
翔太君の家は割と近かったようで、コナン君がスマホで公園に呼び出してくれた。
翔太君はかすり傷程度で済んだらしかった。
詳しく話を聞くと、私は翔太君をを抱きかかえて車の衝突を防ぎ、私が車と衝突したらしい。車はすごいスピードで走り去っていき、翔太君は私の腕から抜け出しなんとか周りの人に救急車を呼んでもらった。
けれども、自分は大した怪我じゃなかったこともあり、救急車が来るまでに家に帰ってしまったという。
叱られるのが怖くて家の人には何も言ってないらしい。
ただ、そのことが後になってどうしても不安が募って少年探偵団に私の行方を捜してもらう依頼を出した――というのが話の流れだ。
「いつだよ、それ――」
コナン君が怒っているのは仲間外れにされたからなのだろうか。
「一昨日ですよ。コナン君はすぐに帰ったでしょ?」
光彦君は肩をすくめていう。
「それで昨日は事故現場近くでジジョーチョーシュ(事情聴取)してきたんだよねー!」
歩美ちゃんが小学校低学年とは思えない不穏な単語を滑らかに口にするので、私は目を丸くした。事情聴取なんて、警察の仕事では……?
「これがその写真、な?」
元太君が無邪気にプリントアウトした写真を見せてくる。私は路上に倒れて頭から血を流している自分の姿を初めて目にした。
何かが思い出せるわけではないけれど、胸がギュッと痛くなる。
だって、もしも事情を知らない誰かがこの写真だけを見たら――
近くのビルから飛び降りたように見えてもおかしくないからだ。
もしも秀一が何かの事情でこの写真だけを見ていたとしたら、過保護になって私を家から一歩も出したくないのも、わかる気がする。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月13日 17時