決意10 ページ44
碧海side
翌日、百合の退院手続きを終え家に連れて帰ろうとして外に出たとき藤川とばったり会った。
藤「あれ?百合ちゃんも退院か?」
碧「お陰さまで。冴島さんどう?」
そう尋ねると藤川は頭を掻きながら答えた。
藤「いや、今回のことははるかのせいじゃないって何度も言ってるんだけどはるかは自分のせいだ、私はちゃんとお母さんじゃなかったって。俺どうしたらいいのかなぁ」
私は足元をうろつく百合を抱き抱えて答えた。
碧「私は、冴島さんはちゃんと良いお母さんだと思うよ。昨日聞いたけど、シアン騒ぎのとき目が覚めて初めて思ったのが赤ちゃんのことだったんでしょ。まだ小さかった百合と一緒に屋上から飛び降りた私なんかよりずっと良いお母さんだと思う」
わたしの言葉に藤川はいつもの笑顔を浮かべて冴島のもとへ向かっていった。
百「ママ、帰ろうよ」
碧「ごめんね、百合。帰ろうか」
百合の服に顔をうずめると甘い良い香りがした。
百「ただいまぁっ」
百合はリビングへ駆けていくと早速画用紙とクレヨンを引っ張り出してお絵描きをしている。
百合が入院していたときの服を洗濯しようと洗面所に行ったときだった。
碧「……っ」
何かに掴まれたように胸が痛んだ。咄嗟に胸を押さえて壁に寄りかかりしゃがみこんだ。深呼吸をしても痛みは治まらなく助けを呼ぼうにも声がでない。お母さんに電話をしようと携帯に手を伸ばすもあと少しのところで手が届かなく、力なく手を下ろす。
再発が分かってから激しい運動は絶対しないようにしてきたし百合の保育園の迎えも自転車からバスに変えた。だからここのところは階段を上ったときにある動悸や息切れぐらいだった。もしや限界が来てしまったか。想像以上に進行が早かった。
百「ママぁ」
百合がこちらに走ってくる音がパタパタと聞こえてきた。そして洗面所に着いたとき百合は立ち尽くした。
百「……ママ?」
私は百合に心配をかけるまいとなるべく笑顔で告げた。
碧「……百合、おばあちゃんに電話できる?」
私はそこで意識を手放した。
76人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナオ(プロフ) - この作品夢主と藍沢先生は結ばれるの? (2019年9月19日 20時) (レス) id: a9e4616003 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか? (2019年8月27日 3時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
真衣(プロフ) - 読んでみて面白かったです。更新がんばってください!応援してます! (2018年4月26日 16時) (レス) id: 984f627d8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2018年1月14日 11時