negai ページ1
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｢七夕さあ｣
｢…うん？｣
｢なんか願い事した？｣
夕食を終えて、同じ空間の中で少し離れたところに座りながら黙々と台本に目を通す。
お互いがお互いの存在を感じながら、それでいて個の空間に浸って仕事に向き合える、彼とだからこそ作れるこの絶妙な空間。
そんな時を過ごす中でふと彼が問い掛けた言葉に、きょとんと首を傾げながら台本から視線を上げて彼を見詰めた。
｢願い事、この間の取材で書いただけかなあ｣
｢短冊に？｣
｢うん、なんかこう、｣
｢ふ、取材用のやつね｣
｢そうそう、｣
小さく笑いながら頷く私を彼が指先でちょいちょいとソファへ誘うから、台本を閉じてソファに座る彼の隣へ腰を下ろす。
背凭れへ広げた腕に収まりながら彼の肩へ凭れれば、大好きな掌が私の髪を優しく撫でた。
｢潤くんは？｣
｢俺は書いてねえな今年｣
｢お願いするとしたら何にする？｣
｢んー｣
ふと気になった事を口に出しただろう彼は願い事を考えていたわけではないらしく、私の言葉に少しだけ眉を寄せて唇を尖らせながら思案し始める。
何かを考える時この表情よく見るなあ、なんて思いながら見詰めるその横顔は相も変わらずこの世界でいちばん格好良くて、そして息を呑むほどに美しい。
｢…見過ぎ｣
｢ふふ、でも気になる｣
｢じゃあ考えとくから先にAの願い教えてよ｣
｢私のお願い事は潤くんが叶えてくれるもん｣
｢…俺？｣
七夕とか星じゃなくて？と私を見る瞳と視線を絡ませて、｢潤くんしか叶えられないの｣と微笑めば彼が不思議そうに首を傾げた。
｢まあ叶えられる範囲なら全部叶えるけどさ｣
｢ふふ、ありがとう｣
｢願い事の内容は？｣
｢…ないしょ。｣
｢なんでだよ、教えろって｣
｢あはは、やだ擽ったい、｣
腰に回った腕が擽ったくて身体を捩れば、隙間のないくらい引き寄せられてソファの上でじゃれあう。
笑い合いながら触れる唇が愛しくて、その口付けから伝わるようにと何度も何度も唇を重ねた。
あなたが元気に生きて、健やかな日々を送れますように。
あなたの人生が、新鮮で刺激的で、そして楽しく幸せな日々でありますように。
願いひとつ、星じゃなくて、彼へそっと祈る。
あなたという存在は、この世界の誰にも叶えられない、あなただけに起こせる奇跡だから。
そして願わくば私からあなたへの愛が、ほんの少しでもその幸せの糧になりますように。
生きて尽きることのない、永遠をあなたと。
7.7
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竜胆(プロフ) - あ ゆ 。さん» あ ゆ 。さん、いつも読んでくださっているとの事、とても嬉しく思います。更新分もお読みくださりありがとうございます。リクエスト、勿論大歓迎です。コメント欄でもマシュマロでも、お好みのところから送って頂ければ！楽しみにお待ちしております。 (2023年1月10日 2時) (
レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
あ ゆ 。(プロフ) - 竜胆さん、いつも楽しませていただいております。今日の投稿も、早速読ませていただきました〜。初めてコメントにお邪魔させていただいたのですが、リクエストさせていただくのは可能でしょうか…？ (2023年1月10日 0時) (レス) @page28 id: b4b41ea361 (このIDを非表示/違反報告)
エマ(プロフ) - リクエストお答え頂きありがとうございます！解釈が完全に一致してて嬉しくて面白かったです。これからも楽しみにしています！(返信不要です！) (2023年1月9日 23時) (レス) @page28 id: df9b0d8213 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - エマさん» エマさん、あけましておめでとうございます。拙くも、そして私独自の勝手な解釈ではありますが、楽しんで頂けますと幸いです。リクエスト有難うございました、こちらこそどうぞ本年も宜しくお願い致します。またお時間の許す際に覗きに来て頂けますと嬉しく思います。 (2023年1月9日 22時) (レス) @page28 id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 名前さん» 嬉しいコメントをありがとうございます、お返事が遅くなりました。私もその動画拝見しました、仲の良さが窺える話しぶりで素敵でしたね。少しお時間頂くかとは思いますがお待ち頂けますと幸いです。リクエストありがとうございます、また読みに来て頂けると嬉しいです。 (2023年1月9日 14時) (レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竜胆 | 作成日時：2022年7月8日 8時
