Columbine. (ページ23)

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"確かに発言自体はAちゃんの声でした"
"けど、会話はそのままじゃない。"
"誰かが言わせて、河野さんの声と合わせてるんすよ。"
"恐らく…やったん、河野さんちゃうかなって。"

「…ごめんなさい。いきなり言われても、ですよね。」
「いや、大丈夫。ちょっと整理できないだけ。」

碧海は、説明と共に解析機関の証明書を俺に見せた。つまり、捏造は間違いじゃない。碧海の言う通り、これをやったのは秘書で間違いないと思う。

だって、そうじゃなきゃ、ありえないから。

「河野って人、次期社長ってなってましたよね。」
「うん。…多分、俺を落とすためにしたんだと思う、これ。」
「お父さんに説明すれば、」
「いや、無理だよ。…あの人、これ知っても何とも思わないよ。」

正直、秘書がどうなるとか、そんなことはどうでもいい。
あの時何の疑いもなくこの音声を信じて、Aの話も聞かずに突き放して、終わらせたこと。そのことだけをただただ後悔してしまう。

「Aは、知ってるの？これ。」
「この音声聞かせたんやったら、声で分かってるんちゃうかな。」
「…だよね。」

Aは、どんな気持ちで居たんだろう。
これを俺が聞かせた時の彼女の心境を考えると胸が苦しい。

謝りたい。謝って、やり直したい。
本心ではそう思うけど、もう彼女は目の前にいる碧海と一緒に居るのかもしれない。そう思うと、勇気は出なかった。

「あと、…俺も、景瑚くんに謝らなあかんくて。」

碧海は、さっきまでの勢いを消して、俯きながら話し出した。

「ほんまは、姉ちゃんの為に、Aちゃんに近付きました。」
「…姉ちゃんって、はるか？なんで？」
「姉ちゃんとより戻してほしくて、景瑚くん、別れたらええのにって。」

昔を思い返してみる。
碧海とはるかは側から見ても仲が良く、お互いがお互いを思い遣っていた。それがシスコン、ブラコンと言うのだろうけど、俺の中ではお互いが大切にし合う、理想のきょうだいだった。

「ごめんなさい。」

この数ヶ月、碧海を憎いと思った瞬間は、思い返しても浮かばない。それに彼が居なければ、俺は知らずのうちに彼女を傷付け続けていたかもしれない。

「謝んなよ、怒ってないから。」
「景瑚くん、」
「ただ、お願いがあるんだけどさ。」

今の俺がするべきことは、ただひとつ。

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