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聞けなかった。
あまりにも切なそうな顔で彼女が居るから。歌に乗せたこの気持ちがどうかなんて確かめることをして、自分が得をするなんて思えなかった。
「純喜くん。」
家に帰って、彼の部屋の扉を叩く。名前を呼ぶとしばらくして開いた扉、そこにいた純喜くんは、何も言わずに僕を部屋へと通した。
「聞けなかったです。」
「そっか。」
バカだな。やっぱりな。そう思われてるのかもしれない。口では強く言って、態度も大きく出ていたくせに、結局こうなんだと。思ったことをしっかりと伝えられる純喜くんとの違いは、自分でもよく分かる。
「Aさんとレコーディングした時なんやけどさ。」
純喜くんは、自分の両手を絡ませては握りながら、俯いて語り出した。
「曲も曲やし、舞い上がってたんかも。」
「やたら目合うし、照れたような顔するし、…あの人。」
「あ、俺のこと好きかも。って。自惚れて、余裕やなって。ちょっと思ってしまってたんよな。」
僕だって、そう。Aちゃんの特別で居られる気がして、純喜くんよりも優位に居る気がして、舞い上がっていた。
「でも翔也の覚悟聞いて、俺も、今日だけはAさんのためだけに歌った。歌ってる間もずっと、Aさんの事見てた。」
僕も。この気持ちが届くように歌っていた、つもりだった。だからこそあの切なそうな顔が語る真実がわからなくて、怖くなって、逃げたくなっている。
「見てたから、分かってしまってん。」
「Aさん、翔也のことしか見てへんなって。俺の気持ち云々より、翔也の気持ちが知りたそうやなって。」
顔を上げた純喜くんが僕に向けた視線。拗れる前と何の変わりもない、優しくて、僕を認めてくれる。そんな眼差し。
「…純喜くん。」
「悔しいけど、負けたんやなー俺。負けたって言うか、そもそも同じ土俵に上がれてなかったんかもしれんわ。」
純喜くんの言う、「同じ土俵」。その意味はわからない。
けど純喜くんが僕を認めてくれたことで、やっと、Aちゃんの気持ちを確かめる勇気が出た。
「僕、明日、ちゃんと聞きます。Aちゃんに。」
「うん。…ごめんな、まだ応援は出来んけど。」
「純喜くんのお陰で、僕も頑張れたから。…ありがと。」
純喜くんは頷いて、僕の頭をわしゃわしゃと撫でた。
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ゆんこ(プロフ) - 最後あたりの翔也くんにとてもキュンキュンしました (2023年3月27日 21時) (
レス) id: a4539225cc (このIDを非表示/違反報告)
マツ子(プロフ) - ペンバタ。@くれふぁん所属さん» 教えていただきありがとうございます！早急に対応させていただきました。 (2022年10月19日 11時) (レス) id: 67e955b2fa (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタ。@くれふぁん所属(プロフ) - コメント失礼します。オlリlフlラついてますよ！違反になってしまうので、外してくださいね。これからも応援してます…！ (2022年10月19日 7時) (レス) id: 7507a04f20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月18日 22時
