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河野さんの声は、パワフルで、綺麗で。テレビやCDで聴くよりもずっと上手で、一言で言うと圧巻だった。
悔しい。そう思った。
でもそれで落ち込むよりも、こうなりたい、こうならなきゃと、また彼に強く背中を押された気がした。
韓国に居た頃は、どれだけでもラブソングに気持ちを込められたのに。恋愛なんてしていないし、あの頃を思い返して歌うと、どうしても切ない感情ばかり込めてしまって上手くいかない。
「Aちゃん！」
キッチンでようやく仕事を終える頃、元気のいい声が聞こえて振り返る。そこにはいつものように笑って私を呼ぶ翔也くんが居て、思わず私まで笑顔になった。
「誕生日っていつ？」
「え？」
「今、みんなでその話になって。」
「誕生日…」
そういえば
「明日だ。誕生日。」
「え！？」
「すっかり忘れてた。」
自分の誕生日を重んじてもいないけど、忘れてしまうほど忙しかったのは確か。翔也くんは「言ってよ！」となぜか焦っていた。
「欲しいものある？」
「え、ないない。全然ないよ。」
「なんかあげたい！」
「本当に欲しいものなんてないよ！」
納得が出来ないのか、翔也くんは顎に手を当てながらうーんと唸る。そして何か思いついたように、リビングに戻っていった。
それと同時に玄関の扉が開いて、私は急いで玄関に向かう。
「おかえりなさい。」
「ただいま。…どしたん、なんか焦ってんの？」
マスクを外しながら笑う河野さんに、私は小さく笑って首を振る。
「今日、ありがとうございました。足引っ張ってすみません。」
「こちらこそありがとう。…メンバーに言った？俺との仕事。」
「いえ、私から言うことじゃないので。」
「じゃあ俺から言うとくね。」
廊下を歩いてリビングに向かう河野さんが、立ち止まって振り返る。
「Aさんの歌、めっちゃ良かったで。」
「…河野さんに言われると、嬉しいです。早く追いつきたい。」
「ほんまやで。…ほんまに、誰にも聴かせたくないくらい。」
その言葉と微笑みが、とても優しくて、暖かくて。
悔しかったはずの気持ちが、少しだけ、溶けた気がした。
「感情、込められるように、少し考えます。」
「俺にできることあったら言うてな。２人の曲なんやし。」
「はい。ありがとうございます。」
私だって、恋愛感情は無しにして、大切な人は居る、はず。
そんな人を見つけられたら、何もかも上手くいく気がする。
「大切な人、か…」
私にとって、大切な人って、誰なんだろう。
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ゆんこ(プロフ) - 最後あたりの翔也くんにとてもキュンキュンしました (2023年3月27日 21時) (
レス) id: a4539225cc (このIDを非表示/違反報告)
マツ子(プロフ) - ペンバタ。@くれふぁん所属さん» 教えていただきありがとうございます！早急に対応させていただきました。 (2022年10月19日 11時) (レス) id: 67e955b2fa (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタ。@くれふぁん所属(プロフ) - コメント失礼します。オlリlフlラついてますよ！違反になってしまうので、外してくださいね。これからも応援してます…！ (2022年10月19日 7時) (レス) id: 7507a04f20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月18日 22時
