0025 keigo ページ25
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日曜日。
今までならAと遊ぶ事が当たり前になっていたのに、あの日から誘うことも、誘われることもない。
どうして、言ってしまったんだ。
諦めて、ずっとそばにいられる関係を続けると決めたのに。気持ちを言葉に出した途端、もう幼馴染みでは居られなくて、また以前のように彼女を手に入れたい気持ちがぶり返す。
頭をブンブンと横に振って何とか気を逸らしたい俺は、誰でもいいから遊ぼうとスマホを手に取った。
途端、着信音が鳴る。不意な音に発信者の名前を見ることもなく通話ボタンを押した俺は、そのままスマホを耳に当てた。
「出るの早いよ」
その声に、事態を察した俺は思わず固唾を飲む。
「突然鳴ったからびっくりして…」
「そっか、」
しばしの沈黙、その沈黙を破るように、Aは先払いをした。
「この前…ごめんね」
「いや、俺こそ、ごめん。」
「それでね景瑚、一個聞きたいんだけど…」
Aは、小さな声で言葉を続ける。
「私のこと、まだ、好き？」
想像もしていなかった問いかけに、俺はまた言葉を失った。ここで「好き」と答えるべきなのか、それとも、「諦めてる」と伝えるべきなのか。どちらの答えが俺たちの関係を続けられるのか、分からない。
何も言えない俺に、Aはまた「ごめん」と謝る。
「とりあえず…私の気持ち、伝えてもいい？」
どちらにしたって、Aの気持ちを知れるならそれ以上のことはない。避けられたまま居るよりは、どんな結末が待っていても彼女の気持ちを確かめない方法はない。
「Aの気持ち、知りたい。」
でも、どうせ知るなら、電話なんかじゃ嫌だから。
「今から会える？いつもの公園で待ち合わせよう。」
「じゃあ…30分後に、公園で。」
そう言って切れた電話。心臓が口から飛び出そうなほどに高鳴って、うるさくて、足が震える。
望まない結末になるのが怖い。
それでもちゃんと向き合おうとしてくれるAの気持ちを踏みにじる理由にはならなくて、勇気を出して家を出た。
Aに会うのが、怖いと思うなんて。
Aの声を聞くのが、切ないと思うなんて。
「景瑚。」
家を出てすぐ、同じタイミングで家を出たであろうAが俺の名前を呼んだ。振り返るとそこにはAが立っていて、何とも言えない、切ない笑顔を俺に向ける。
「A。」
近付く彼女の名前を呼んで、向き合って立つ俺たち。
終わるのか、それとも、続いていくのだろうか。
to be continued ...
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月1日 1時
