0024 you ページ24
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眠れない夜。こんな時間に電話したら迷惑かもと思いながらスマホを手に取った。
１、２、３
鳴り止まないコールに、流石に寝てるのかと諦めかけてスマホを耳から話すと、0:00の文字が浮かんで慌てて耳に戻す。
「もしもし！」
「A？ごめん、お風呂入ってた。」
「ううん、大丈夫。…今、少し話せる？」
「うん。どうしたの？」
はるかの優しい声に、言葉に詰まる。すると察したようなはるかが、口調を変えずに言葉を続ける。
「純喜のこと？それとも、景瑚？まさかの瑠姫先輩？」
「…景瑚の、こと。」
はるかには、先に伝えておきたかった。あの日、はるかが私に謝ってきた時、はっきりと今の彼女の気持ちは聞かなかったから。もし、今でも景瑚の事が少しでも気になっているなら、自分の気持ちもしっかり伝えるべきだと思う。
「はるかはさ、…景瑚のこと、まだ好き？」
「んー…好きだけど、恋じゃないかな。昔みたいな、幼馴染みの気持ちが強いかも。どうして？」
少し考えるような間を置いて、はるかは答える。返ってきた問いに答えられず黙っていると、はるかは少し笑う。
「景瑚のこと、好きなの？」
「…たぶん、好き。」
たぶん、なんて。分かりきっている気持ちに未だに逃げ道を作ってしまう自分を情けなく思いながら、言葉を続ける。
「いつも私が辛い時、1番に気付いてくれるの。」
「昔からずっと一緒に居たでしょ？…思い返すと、昔からずっと、そうなの。」
景瑚の気持ちを知って、いろんなことを考えた。彼がいつも自分を守ってくれたこと、大切にしてくれたこと、慰めてくれたこと。その全てに気付いた時、すごく嬉しかった。それと同時に、手放したくないと思った。
恋、と呼ぶには、少し違う形かもしれない。
けれど今私が1番手放したくないものは、紛れもなく彼だった。
「A、大丈夫だよ。」
辻褄が合わないはるかの答え。けれどその言葉はすごくしっくり来て、私の背中を押してくれる。
「頑張って。ね？景瑚はAを幸せにしてくれるよ絶対。」
その言葉に、ありがと、と返す。時間を見て通話を切った私は、安心したように出たあくびを殺して布団に潜る。
"そんな人、Aしかいないと思うけど"
景瑚みたいな人だって、景瑚しかいないよ。
心の中でそう呟いて、目を閉じる。
明日、彼に伝えよう。この気持ちが届くまで、彼が今までくれたものと同じくらい、景瑚に返すことが出来たら。
to be continued ...
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月1日 1時
