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はるかに、純喜の試合を一緒に観に行かないかと誘われた。景瑚や瑠姫先輩も誘ってみたけど予定があると断られたので、はるかと2人で行くことになった。
「A、私ね、」
試合が始まる前。ベンチに座ってフィールドを眺めていると、優しい口調ではるかが話し始めた。
「本当は、景瑚のことが好きだったの。」
突然の告白に、思わず「えっ」と声が漏れた。私の驚きは想定内だったのか、はるかは表情を変えずに続ける。
「フラれて、諦めるために、純喜を選んだ。」
「そうだったんだ…そっか、全然気づかなかった…」
「…ごめんね。」
突然謝るはるか。顔を向けると、今にも泣き出しそうな目をしている。
「なんで謝るの？」
「だってA、純喜のこと…」
私の気持ちをはるかが知っていなんて思ってもいなくて、言葉に詰まる。だけど私は首を横に振って、彼女の手をぎゅーっと握った。
「好きだったよ。純喜に告白して、はるかが好きって知って、2人が付き合い始めた時、すごく辛かった。」
でも今は、幸せそうな2人を見て本当に良かったと思える。
あの時の苦しさも、辛さも、時間が解決してくれた。何より、瑠姫先輩や景瑚が近くに居て、忘れる時間をくれた。
「純喜とはるかが幸せならそれでいいの。」
「純喜のこと、もう好きじゃないの？」
好きじゃない、といえば嘘になる。少なくともこれだけの期間恋焦がれて、未来に希望を全く持っていなかったわけじゃない。
「好きだよ、幼馴染みとしてね。」
「はるかも、純喜も、同じくらい大好き。」
だから大丈夫。そう言ってはるかを見ると、溜まっていた涙が溢れ出したはるかは私に横から抱きついた。
「A大好き〜〜〜っ」
「ほら、試合始まるよ！」
試合開始の合図で、私たちは立ち上がる。何度もゴールを決める純喜に叫んだり、大きな声で名前を呼んだり、あっという間に時間は過ぎた。
「はるか、この後純喜待つの？」
「うん。Aも一緒に待つ？」
「私は帰るよ。あとは若いお二人で！」
「なにそれ、おばさんみたいなこと言ってる。」
2人で笑いながら手を振って、私はひとり帰り道を歩く。するとどこかで見ていたようにスマホが鳴って画面を見ると、「景瑚」の文字。
「試合終わった？」
「うん、どうしたの？」
「瑠姫先輩が、あそぼーって！」
電話越しに、「景瑚が言ってんだろ」と声が聞こえた。笑いながら返事をして、私は家路を急ぐ。
to be continued ...
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月1日 1時
