0011 friend ページ11
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景瑚とも、Aとも、純喜とも話していない。瑠姫先輩とAがどうなっているかも分からないけど、先輩からの"俺、頑張るね。"と書かれたLINEだけを見てスマホをロックした。
上手くいったら、景瑚がAを諦めるかもしれない。そんな事を思っていたはずなのに、景瑚を傷付けてしまったことがどうしても辛かった。
もう、全部言ってしまいたい。私が景瑚を好きなことも、景瑚にAじゃなくて私を見てほしくて意地悪したことも、全部。
「おじょうちゃーん。」
21:30。コンビニからの帰り道を歩いていると、後ろから聞き覚えのある声色が聞こえた。
「…ナンパですかー？」
「ナンパでーす。なんてな。」
ふっと笑った彼は、乗っていた自転車を降りて私の横に並ぶ。
「夜の道ってなんかいいよね。」
「どこ行ってたの？夜遊びなんてわるいやつ。」
ハハっと笑った彼が、自然と私の持っていたコンビニの袋を持って自転車のカゴに入れた。
私は、景瑚の気持ちを知らないことになっていて。景瑚にとっては、「何も知らないはるかがAの恋を応援している」程度のこと。それでもなぜか気まずくなっていた空気の戻し方を、私は知らない。
「今日、Aデートどうだったかな。」
「…ね、どうだろ。」
「瑠姫くんイケメンだもんなー、A惚れちゃうかな。」
「Aは顔で人を選んだりしないよ。」
しばしの沈黙。何か話さなきゃ、なんて。長い付き合いの中で、そんなこと思ったこともないのに。
「はるか、ごめんな。」
この沈黙を破った彼の言葉は予想外で。真横の彼を見上げると、眉を下げながら私を見ていた。
「俺、純喜くんに喧嘩売った。」
「…喧嘩？」
「うん。…たぶん俺ら、もう4人一緒は無理だな。」
4人一緒に居られなくてごめん。
彼の謝罪の意味がもしそうなら、私もここで正直に話さなければならない。
「私も、ごめん。」
今言ってしまえば、もう楽になれる。
「景瑚の気持ち知ってて、瑠姫先輩を応援した。」
「…そっかぁ、気付いてたのか。」
きっと景瑚は、私の気持ちまで察したと思う。それを確かめてしまえば、更に音を立てて崩れる事を知っていて、笑って流そうとしている。
でも、そう出来ない。
ここまできて、この気持ちを無かったことになんて、しない。
「景瑚。」
立ち止まって、少し先を歩く彼が振り向くのを待つ。
けど景瑚は振り向かず、立ち止まったまま答えた。
「ごめん。」
to be continued ....
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月1日 1時
