山田先生の息子さんの段 ページ34
それから僕は何とか食堂の仕事を続けながら、事務の仕事をこなす日常を送っていた。
学園内の人は大体覚えた。
色々とお世話になったからね。
土井先生に山田先生に、安藤先生に…。
とにかくいっぱい居るよ。
今日も朝から小松田さんと事務仕事。
今朝も大変だったよ、本当。
まあそれもとうに慣れてしまったけどね。
僕が書類仕事を終え、腰を上げると、突然大きな声が響いた。
「あぁ〜!!利吉さーん！入門表にサインを〜！」
この声は小松田さん。
また誰かを追いかけ回しているようだけど、名前を知っているようだし、曲者という訳では無さそうだ。
でも僕は「りきちさん」なんて人知らないし、一体誰なんだろう。
僕は好奇心に駆られて小松田さんの声がする方、校門の辺りに行ってみた。
見ると、20歳手前程の端正な顔立ちの青年と、入門表を手にその人物を追いかけ回す小松田さんが居た。
あの人誰だろう。
僕が青年を眺めていると、青年もこちらに気づいたようで、真っ直ぐ此方へ駆けてくると、僕の前で立ち止まった。
あとから追いついた小松田さんの手から入門表を受け取ると、青年は素直にサインして僕を見つめた。
「小松田さん、こちらの方は？」
何も言わない青年の目から逃げるように小松田さんを見る。
「この人は、山田先生の息子さんの、山田利吉さんで。」
小松田さんがそう言うと、その先を遮って利吉さんが口を開く。
「今はフリーの忍者をやってるよ。」
フリーの忍者…？
僕は忍者とかよく分からないから、そういう専門用語一切理解できないんだけど。
「あ、申し遅れました。私はここで事務をさせて頂くことになりました、櫛名田Aです。」
とりあえず自己紹介をしてお辞儀をし、顔を上げてから、ようやく小松田さんの言っていた言葉を咀嚼した。
「ん…？山田先生の息子さんの？利吉さん…。」
「はい」とにっこり笑う目の前の人物の顔を見て、もう一度ゆっくりと反芻する。
「山田先生の、息子さん？」
僕が何度も何度もうわ言のように呟くのが余程面白かったのか、利吉さんが笑う。
「だから何度も言ってるじゃないですか。」
「え、だって全然似てないじゃないですか…。」
「ははっ、よく言われるよ。」
僕が直球に言うと利吉さんは再び笑い、それじゃあ、と言いどこかへ行ってしまった。
「何だか、信じられないものを見た感じがします。」
僕は呆然として、山田先生の顔と利吉さんの顔を並べては首を振った。
続く
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駿河 - はるき (2023年2月21日 10時) (
レス) @page2 id: d099db8a14 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんのご友人のご友人 - 更新待機 面白かったです三c⌒っ.ω.)っ ｼｭｰｯ (2023年2月3日 23時) (レス) @page34 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 小松田 女主てぇてぇ眺めておきたい、更新できたら、お願いします！(^^ω) (2023年1月24日 12時) (レス) @page34 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
莉ぃ兎 - はい！三次元のリア充は爆発させたくなりますwww私は腐ってますww多分。←ゆりなです。 (2019年4月29日 17時) (レス) id: 8f6b5d85cc (このIDを非表示/違反報告)
冷奴(プロフ) - ゆりなさん» 私は男女のリア充は爆発させたくなりますねwかと言って腐ってるわけでも無いのですが。多分w (2019年4月28日 11時) (レス) id: 97749a7a82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷奴 | 作成日時：2019年1月12日 17時
