お構いなくの段 ページ31
「あの、私、雨風が凌げるならそれで十分ですから。野宿に比べたら遥かに良いですし。使っていない倉庫や物置で十分です。」
僕がそう言えば、乱太郎達は首を振った。
「三人ともありがとう。でも良いんだよ。僕は命を狙われているようなものだから、みんなと同じ所で寝泊まりしたら大変な事になっちゃうし。」
三人が不安そうに僕の顔を見上げる。
僕の顔を黙って見ていた学園長先生は重々しく頷き、また小松田さんを呼び、僕を案内するように言いつけた。
小松田さんは僕の前で恭しく手を付き頭を下げて自己紹介した。
「忍術学園事務員の小松田秀作です。よろしくお願いします。」
顔を上げてにっこりと可愛らしく首を傾ける。
「櫛名田Aです。よろしくお願いします。」
何となく此方も丁寧に自己紹介してから二人で部屋を出た。
小松田さんの隣を歩きながら他愛のない会話をした。
小松田さんは自分から話しかけてくれる、かなり愛想の良い人みたいだ。
正門前を横切り、少し歩くと、いかにも物置小屋といった風貌の掘っ建て小屋が見えた。
「ここだよ。ボロ屋でごめんねぇ。」
「いえ、お構いなく。屋根と壁があるなんてこの上ない贅沢ですよ。」
その後も小松田さんは色々と教えてくれた。
お風呂の時間とか、その他学園内の事とか色々と。
「さっき学園長先生から聞いたんだけど、Aちゃんも事務員になるの？」
「え、事務員ですか？まあ雑用全般請け負うって言いましたからね。確かに事務員みたいなものですね。」
僕が笑うと、小松田さんは嬉しそうに笑い両手で僕の手を握った。
「やっぱりそうなんだ。よろしくね！」
僕は笑顔を保つのに精一杯だ。
社交性の塊のような彼は、僕には少し眩し過ぎた。
暫く山に篭もって完全に引きこもり生活をしていた僕は、どうやら昔より圧倒的にコミュニケーション能力が落ちてしまったようだ。
接客も仕事である事務員をやる事に不安しか無い。
彼を見習わなければ。
僕は張り切って、その晩は些か興奮気味で床に着いた。
そのせいかよく眠れず、涼もうと思い夜中に外に出た。
すると校庭を歩く人影が見えた。
曲者かと思ったが、なんだか昼間に見た顔な気がしたし、困っているようなので声を掛けた。
「あれ？ここどこだ？」
「案内しましょうか？」
僕がそう言うと、少年は「あ、お構いなく」と言ってまた歩き出した。
僕はあらぬ方向へ歩き出す少年を引き止めた。
「お言葉ですが、其方は裏山です。」
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駿河 - はるき (2023年2月21日 10時) (
レス) @page2 id: d099db8a14 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんのご友人のご友人 - 更新待機 面白かったです三c⌒っ.ω.)っ ｼｭｰｯ (2023年2月3日 23時) (レス) @page34 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 小松田 女主てぇてぇ眺めておきたい、更新できたら、お願いします！(^^ω) (2023年1月24日 12時) (レス) @page34 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
莉ぃ兎 - はい！三次元のリア充は爆発させたくなりますwww私は腐ってますww多分。←ゆりなです。 (2019年4月29日 17時) (レス) id: 8f6b5d85cc (このIDを非表示/違反報告)
冷奴(プロフ) - ゆりなさん» 私は男女のリア充は爆発させたくなりますねwかと言って腐ってるわけでも無いのですが。多分w (2019年4月28日 11時) (レス) id: 97749a7a82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷奴 | 作成日時：2019年1月12日 17時
