目覚めた少女の段 ページ4
「きり丸、今じゃないとダメかな？出来れば乱太郎にはここにいて欲しいんだけど…」
伊作がすかさず口を挟み、その目は必死に乱太郎を連れていくなと訴えている。
「伊作先輩、すみません。土井先生がすぐに来いと仰っているもんですから。」
きり丸と呼ばれた少年は伊作に視線を移してから医務室の中を見遣り、少女に目を留めた。
「乱太郎、その人は？」
「あぁ〜土井先生が待っていらっしゃるんだし、早く行かないとな〜。」
乱太郎は落ち着かない空気から逃げられる絶好のチャンスだと言わんばかりにきり丸の背中を押して部屋を後にする。
「あっ、乱太郎！僕を置いていくなってばぁ！」
襖が閉まり、乱太郎達の足音が遠ざかると、伊作は肩を落とした。
「はぁ…不運。」
伊作は少女にちらと目を遣ると、直ぐに目を逸らし、少女に背を向け文机に向かった。
暫く時間が経った。
伊作はまだ文机に向かっているが、やはり気になるのかちらちらと少女を振り返る。
伊作が再び文机に向かい直した直後に、少女が薄らと目を開けた。
少女は上半身を起こすと、文机に向かっている伊作の背を見つめる。
伊作は少しの衣擦れの音と視線に気づき振り返る。
「気がついた？」
「…はい。」
伊作はそれ以上何を話していいのかわからなくなり、ひたすらにはにかみ続ける。
少女はまだ少し疑うような眼差しを伊作に向けたが、ふと自分の怪我の手当てがされていることに気づくと再び口を開いた。
「手当てをしてくれたのは貴方ですか…？」
「あぁ、うん。まあ僕だけじゃないけど。」
伊作は少し苦笑しながら答える。
少女は布団から出て正座すると丁寧に頭を下げた。
「ありがとうございました。」
「どういたしまして。」
また沈黙が訪れた。
少女は何を考えているのか、はたまた何も考えてなどいないのか、心の読めない瞳でぼんやりと伊作を見つめ返している。
伊作は気まずさに耐えられなくなったが、かと言って何も知らない人と、それも少女と、何を話せばいいのかと困った様子で笑顔を貼り付けたまま座っている。
対する少女は愛想が良いようには見えない。
先程からにこりとも笑わない。
伊作が沈黙に耐えきれず、誰かを呼んでこようかと腰を上げかけたその時、少女が徐ろに口を開いた。
「すみません、ここは何処なのでしょうか？」
「あぁ、そうか、まだ言っていなかったね。ここは忍術学園だよ。」
そう聞くと、少女が僅かに反応を示した。
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駿河 - はるき (2023年2月21日 10時) (
レス) @page2 id: d099db8a14 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんのご友人のご友人 - 更新待機 面白かったです三c⌒っ.ω.)っ ｼｭｰｯ (2023年2月3日 23時) (レス) @page34 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 小松田 女主てぇてぇ眺めておきたい、更新できたら、お願いします！(^^ω) (2023年1月24日 12時) (レス) @page34 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
莉ぃ兎 - はい！三次元のリア充は爆発させたくなりますwww私は腐ってますww多分。←ゆりなです。 (2019年4月29日 17時) (レス) id: 8f6b5d85cc (このIDを非表示/違反報告)
冷奴(プロフ) - ゆりなさん» 私は男女のリア充は爆発させたくなりますねwかと言って腐ってるわけでも無いのですが。多分w (2019年4月28日 11時) (レス) id: 97749a7a82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷奴 | 作成日時：2019年1月12日 17時
