五年生の段 ページ17
乱太郎達が厨房のAを五人に紹介し、続いてAに五年生を紹介した。
五年い組の尾浜勘右衛門、久々知兵助。
五年ろ組の竹谷八左ヱ門、鉢屋三郎、不破雷蔵。
「へぇ、さっきの。」
雷蔵が興味深そうにAを見て声を漏らす。
「初めまして。」
Aが鍋を火にかけながら振り向いて挨拶する。
五年生の面々をしっかりと見てから首を捻る。
「双子…ですか…?」
Aが何度も雷蔵と三郎を見比べる。
「お二人は双子ではありません。五年ろ組の鉢屋三郎先輩は、変装を得意としていて、いつもは五年ろ組の不破雷蔵先輩に変装しているんです。」
乱太郎がAに補足説明をする。
「変装…?」
「はい!忍者は変装も出来る必要があります。」
乱太郎の話を聞いて、Aが納得する。
「なるほど。」
再び二人をよく見比べる。
「…本当に見分けがつきませんねぇ。」
Aが歩み寄り、じっくりと雷蔵と三郎を見る。
雷蔵と目を合わせ、三郎と目を合わせる。
三郎は先程の事があるからか、そっと目を逸らす。
「…ということは、この人がさっきの人か。」
Aがぶつぶつと呟く。
それからはっと我に返り姿勢を正した。
「先程はすみません。つい…。」
Aが少し目を伏せて三郎に軽く頭を下げる。
「いや、大丈夫だよ、気にしないで!」
三郎は手を前に出し、冷や汗混じりに首を振った。
「…三郎の方が大分気にしてる。」
そんな三郎の様子を見て勘右衛門が小声で囁く。
「ところで、何作ってるんだ?」
八左衛門が三郎からAに視線を移すと、話を逸らすように尋ねた。
「豆乳鍋です。」
Aが答えると兵助が反応した。
「豆乳?」
「はい。豆腐も入れますし、なんか大豆尽くしですね。」
Aがスープを少し皿に取り、軽く笑う。
「豆腐!?」
兵助は厨房の方に身を乗り出して目を輝かせる。
「と、豆腐お好きなんですか?」
Aが兵助の食いつき具合に顔を引き攣らせて笑う。
「兵助…。落ち着け、引かれてるから。」
勘右衛門が兵助の肩に手を置く。
「豆腐大好きなんだ!ねぇ、豆乳鍋、出来たら食べてもいい?」
兵助は勘右衛門を気にせずに続ける。
「あぁ、そういうことでしたら是非。皆さんも良かったらどうぞ。」
小さく笑い味見をしながら五年生に言う。
Aは一人で納得したように頷くと、覗き込んでいる乱太郎達の方を振り返る。
「出来ました。」
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駿河 - はるき (2023年2月21日 10時) (レス) @page2 id: d099db8a14 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんのご友人のご友人 - 更新待機 面白かったです三c⌒っ.ω.)っ シューッ (2023年2月3日 23時) (レス) @page34 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 小松田 女主てぇてぇ眺めておきたい、更新できたら、お願いします!(^^ω) (2023年1月24日 12時) (レス) @page34 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
莉ぃ兎 - はい!三次元のリア充は爆発させたくなりますwww私は腐ってますww多分。←ゆりなです。 (2019年4月29日 17時) (レス) id: 8f6b5d85cc (このIDを非表示/違反報告)
冷奴(プロフ) - ゆりなさん» 私は男女のリア充は爆発させたくなりますねwかと言って腐ってるわけでも無いのですが。多分w (2019年4月28日 11時) (レス) id: 97749a7a82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷奴 | 作成日時:2019年1月12日 17時