過去と仇とこれからとの段 ページ11
男が倒れるとその背にはAが座っていた。
頭を左腕で押さえ込み、右手に握った苦無を首に添えている。
「え？」
駆け寄った伊作は目の前で何が起こったのか分からなかった。
Aは男の首を睨みつけている。
男が呻きながら話し出した。
「悪かった…。」
「何が？」
海底に沈む氷のような声でAが聞き返す。
「俺がさっき言ったのは、嘘だ。」
「は？」
「お前の戦意を削げれば勝ち目があると思ったんだ。実際には俺達はお前の家を襲っていない。」
「…」
Aは尚も男の首を睨みつける。
「ふぅん。そっか…。」
Aは素っ気なく答えると苦無を男の首から離した。
男は安堵の表情を見せた。
「でも…。」
Aはどこを見ているのか分からない目でぼんやりと呟いた。
「じゃあ僕は一体誰を憎めばいいのかな？」
その場に居た全員が息を呑んだ。
しかし次の瞬間Aはいつもの調子に戻り、言い放った。
「ごめんごめん。嘘だよ。大丈夫。」
男の背から降りると、地面に転がっている男達が起き上がり始めた。
「え…めんどくさいなぁ。」
すると青紫の忍び装束を纏った明るい茶髪の青年が割り込んできた。
「私に任せろ！」
そう言うなり青年は男達をあっという間に倒していく。
伊作がAの横に立ち説明する。
「あれは5年ろ組の鉢屋三郎。三郎は強いから大丈夫だよ。」
どさくさに紛れて上級生らしい生徒達が加わって、一瞬で片付けてしまった。
「強い…。」
Aがぽつりと呟いた。
伊作が笑顔で言う。
「ね、僕達に任せても大丈夫でしょ？」
Aは伊作の話を聞いているのかいないのか、忍たま達の背を眺めるばかりだった。
「んー、僕を追うのをやめろって言いたいところだけど無理だろうから、せめて襲撃回数減らして？」
「は？」
ボロボロになって縄で縛られた男達があんぐりと口を開いてAを見る。
「だって君たちも仕事でしょう？追わないと雇い主に怒られるだろうし。」
伊作達が慌てて止める。
「いやいや！ちょっと待って！どうせなら辞めてもらおうよ!?」
乱太郎がAの袖を引く。
「そうですよぉ！こんな人達に優しくしてどうするんですか？」
「だって意地悪すれば後で返ってくるけど、優しくすれば何も無いでしょ？」
『そういうことじゃないでしょう！』
コケる皆にAは首を傾げた。
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駿河 - はるき (2023年2月21日 10時) (
レス) @page2 id: d099db8a14 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんのご友人のご友人 - 更新待機 面白かったです三c⌒っ.ω.)っ ｼｭｰｯ (2023年2月3日 23時) (レス) @page34 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 小松田 女主てぇてぇ眺めておきたい、更新できたら、お願いします！(^^ω) (2023年1月24日 12時) (レス) @page34 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
莉ぃ兎 - はい！三次元のリア充は爆発させたくなりますwww私は腐ってますww多分。←ゆりなです。 (2019年4月29日 17時) (レス) id: 8f6b5d85cc (このIDを非表示/違反報告)
冷奴(プロフ) - ゆりなさん» 私は男女のリア充は爆発させたくなりますねwかと言って腐ってるわけでも無いのですが。多分w (2019年4月28日 11時) (レス) id: 97749a7a82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷奴 | 作成日時：2019年1月12日 17時
