一人静か【松川一静】

18.捌け口 ページ18

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結局、彼女はあの後どうなったかわからないけど
しつこく連絡して嫌われても困るので、連絡も取らなかった。
バイトはやめるまでの間、少し気まずかったけど
Aさんが変わらない態度で接してくれたのが救いだった。
新しいバイト、探さないとな。




｢マッカワくんAちゃんと別れたんだね〜！｣




相変わらず絡んでくる天童。いつも、情報はどこで仕入れてくるんだ。
俺が睨むと、嬉しそうにする。




｢そんな悲しそうな顔しちゃってさ、面白いね。そのしけた顔もっと拝みたいからこれから飲みにでも行く？｣



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俺はこいつがクソ嫌い。
こいつも俺に絡むのは、からかいたいだけだろう。
そうと分かってて天童と飲みに来ていた。



天童は一杯目はビール。二杯目はハイボール。
そうかと思えばカルーアミルクを頼んでみたり。
こんなの男が飲んでるのは初めて見たわ。
時間がたってくると熱燗とか、渋いものも頼んでいた。



｢天童って酒強いのな。しかも何でも飲むし｣
｢俺、飽きっぽいだけなの。マッカワくんみたいに一途じゃないから｣



天童のことは嫌いだったから、ちゃんと話したこともなかったけど。
おふざけは口調だけで、話してみると意外と普通のことばかり喋っている。



｢タバコ吸うんだな。でもお前のイメージはマルメラより赤マルだろ｣
｢あはは、赤マルのが似合うよね、やっぱ。でも前は吸ってたよ｣
｢タバコも飽きっぽいのかよ｣
｢マッカワくんはタバコ、本当にやめたんだね。吸ってたのセッタでしょ？強いヤツなのに、よくやめれたね。Aちゃんのため？｣



誰かのためとか、そんなんじゃない。
自分のためなんて、それはもっとない。

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