7.懐かしい味 ページ8
「お待たせ致しました。ご注文のハムサンドです。」
スマホの画面を見てぼーっとしていると頭上から声が聞こえた。
さっきの女性店員さんだった。
「ありがとうございます。」
少し懐かしい気持ちになりながらハムサンドを頬張る。
え……これって………
間違いない。降谷くんのハムサンドだ。
まさかと思ったけど、間違いない。
隠し味に味噌が入った彼のオリジナルレシピ。
もう暫くの間、泣いてなかったのに。
次から次に涙が溢れてくる。
「おいしい……っ」
3年前のあの日から、涙なんてどこかに置いてきちゃったんだと思ってた。
お兄と一緒に、ずっと喪服で仕事して、でも、お兄は喪服着て観覧車で爆死。
私の喪は明けないままで、もう7年喪服しか来ていない。だから職場でのあだ名は死神。
本当に死神かもしれないから否定しなかった。
同期3人と兄が死んで、降谷くんとも連絡が取れなくて、もしかしたら降谷くんも死んじゃったのかなって思ってて。
あぁ、もぅ。涙が止まらないよ。
思ったより近くにいたんだね、降谷くん。
周りの目なんか気にもしないで、号泣しながらハムサンドを頬張った。
降谷くん。
貴方だけでも、生きていてくれてよかった。
ハムサンドを食べ終えて、コーヒーを飲む。
それでも、涙は止まらなくて……
「お姉さん!どうして泣いてるの?」
「何かあったんですか??」
「泣くほど腹減ってたのかよ?」
後ろから3人の子供が声をかけてきた。
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リズ(プロフ) - すっごく面白かったです!マトリとかめっちゃっ設定いいですね!とてもいい作品なので更新楽しみにしてます!頑張ってください (2021年6月10日 20時) (レス) id: c0ee422ad8 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - すごく続きが読みたいです!更新お願いします! (2020年12月25日 1時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月影 晃 | 作成日時:2020年6月23日 21時