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第五十六話 ページ6

Aside

「っ…おはようっ。夏目っ」

学校にはなんとかギリギリ間に合ったけど。朝から物凄く疲れた。部屋を飛び出したのはいいけどマンションから学校までの道のりなんて分からない。
だから側にいたおじぃちゃんに聞いてみて、言われた通りに猛ダッシュで行ってみると近くの違う学校で、そこの生徒に道を教えてもらって走ってきた。

肩で息をしながらおはようという私に、夏目は驚いた顔をしている。いや、どちらかと引いている

夏「お、おはよう………」

だがその挨拶はどこかぎこちなく、夏目の視線はすぐ下を向いた

「夏目?気分が悪いのか?」

気になって聞いてみると、何でもないと言って笑った

夏「今日はどうして遅かったんだ?」

「あ、そうそう。いつも夏目が起こしてくれているから、ついついそのまま寝ちゃったんだよね」

そう。私は朝に弱いから、いつも夏目が起こしてくれてたんだけど、今日から名取さんの家に住まわせてもらってることを忘れていた
(初日からダメダメだな…)

夏「あぁ、東明は朝に弱いからな…名取さんに起こしてもらったのか?」

「うん(笑)」

苦笑いしながら頷く。
“ダメだろ。名取さん困らせたら”なんて怒られるかな?って思ったけど、夏目は無反応だった。というより、上の空といった感じで

今日は一日そんな感じで夏目はなんだかずっと浮かない顔をしていた



田「東明」

「へ?」

放課後、何時ものようにボーッとしていると、田沼にいきなり声をかけられた。夏目や北本達といるときに田沼と話したことはあるけど、私一人の時に話しかけられたのは初めてだった

田「ちょっといいか?」

「うん?帰りながらでもいい?」

田「あぁ」

荷物をもって田沼のもとへと駆け寄る。私が歩き始めると、田沼も私の歩幅に合わせて歩き出す

田「……夏目から、聞いただけなんだけど…東明、藤原さん家から、出ていったってのは、本当なんだな?」

田沼の話し、つい昨日の事の話だった

「…出ていった、というよりは……まぁ、間違ってはないけど…」

田「そうか……理由は?聞いてもいいか?」

田沼の目は、気持ちは、真っ直ぐで、嘘は…誤魔化しはできないと思った

「夏目には、言わないでくれる?」

私が真剣な口調で言うと、田沼も、力強く頷いた

田「分かった。約束する」

ゆっくり息を吸って、私は理由を話し出した。






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作者名: | 作成日時:2020年8月25日 19時

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