第五十五話 ページ5
名取side
(八時二十分!?)
流石にこれは不味いのでは?!
名「Aちゃん!!起きてくれ!」
一瞬“早く起きないと、キスするよ?”なんて言ってみたら起きるかな〜なんて呑気なことを思ったけど,結局それどころではない.多分。
他に何か方法はないかと,試しにカーテンを全開にしてみると
「ぅ…」
少しダメージが入ったようで,眉間にシワを寄せている。
(これだ＿!)
懐中電灯を、持ってきて、目の近くでﾁｶ,ﾁｶと、繰り返しながら揺すって声をかける
名「Aちゃん!!学校!!」
それを暫くしたあと＿
「んぅ……名…とぇ、さん？……」
ようやく目覚めたのか、舌ったらずながらも、名前を、確かに呼んだ
名「そうだよ。早く起きないと、学校に間に合わなくなるよ?!」
「ぅぃしぃ」
そんな変なことを言って、もう一度夢の世界へ旅立とうとするAちゃん
(必ず阻止しなけれはば＿＿!!)
しょうしょう強引だが、ぐぃっと腕を引っ張り起き上がらせ、簡単な朝食をソファまで持っていき、食わせてやる。
名「Aちゃん、もう朝だから！ね？早くごはん食べようか」
「ぅ……はぃ……」
目は間だ完全に開いてはいないけど、返事をしたから、スプーンで掬い、食べさせる
名「よしじゃあ、次は歯磨きをして、顔を洗って！」
モグモグ食べてはいたけどまだまだ目は空かない。
(このままじゃ絶対に洗面台までたどり着ける気がしない……)
仕方なく手を引いて、洗面台まで誘導
名「ほら！顔を洗って！」
そういうと、今度はきちんとうなずき、歯を磨き始める。
その間におれは寝室へと向かい、クローゼットから彼女の制服を引っ張り出していると……
何やらドタドタと急に足音がなり始め、何事かと思うと、勢いよく寝室の扉が開かれた
「すみません！今すぐ着替えます！」
顔を洗ったお陰で目が覚めたのか、ﾊﾞﾊﾞｯと制服に着替え始める。
(よ、よかった……起きてくれた…)
そこでようやくおれは手を止めた
名「はぁ」
まさか彼女は朝に弱かったとは……。想像していなかった…。もしや普段は毎日夏目や夫妻がこれを？…!!なんて仕事量なんだ…しかも、しぶといぞ、彼女は。
(来なかったらどうなってたことやら…)
そのまま一息していると、またも足音が忙しくなり
「すみません!名取さん!行ってきます!」
嵐のように部屋を出ていった
「あ……」
そういえば、お弁当、初めて誰かのために作ってみたのに、結局渡すのを忘れてしまった。
(仕方ない。自分で食うか…)
一気に静かになった部屋を、弁当と共に出て、疲れを感じたまま事務所へと向かった
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作者名：穴 | 作成日時：2020年8月25日 19時
