第八十六話 ページ36
名取side
「賞金って、何円なんですか?!」
少し食いぎみに聞いてくるAちゃん。完全に目がお金だ。まぁ、自立するために必要だからだと思うけど……
今日は、Aちゃんと二人で早速その学校裏の山に来ている
残り一瞬間の夏休みをかけ、その妖を捕まえる。いや、一週間もかからないかもしれない。
名「えーっとね……一昨日のうちにある程度のものは調べておいたけど、確か、30万とか50万とか、そこら辺だった気がするな…」
「えぇ?!高い!」
そう、今回の賞金はかなり高い方だ。多くの祓い屋達が襲われているから、と言うのもあるが、一番は的場の者も封印しようとして返り討ちになって襲われたからだろう。七瀬さんはそんなこと言っていなかったけど
名「うん。捕まえたら全部君のものだから」
「……本当に、良いんですか?」
名「私は手伝うとしてもアドバイスか、物を揃えるぐらいだし」
この妖を捕まえることをテストとしてAちゃんに持ちかけた。
これまでの二週間で、Aちゃんは急激に知識を身に付けていった
名“え、もう一冊読み終わったのかい?”
“はい。”
普通の祓い屋でも解読するのに丸一日はかかりそうな、今とは形が違う字達が細かくびっしりとかかれてある分厚い書を、たったの三時間で読み上げ、その上__
名“内容は、頭に入ってるの?”
“はい!もちろん!一通り読み終わったので、大事な、使えそうな所だけ、全部暗記してますよ”
依“とんでもない子だな……いずれお前の手に負えなくなるぞ、名取”
名“そうですね……そうなったら、依島三に頼みます。まだまだ力はあるでしょうし?”
依“断固拒否する。”
まぁ最後の会話は余分だけど、記憶力も桁違いで、あの依島三を唸らせるほどだ
「ちなみにその妖はどんな形、というか、姿なんですか?」
名「大きな犬の獣だよ。……ほら、これ」
バックから張り紙を取り出す。目撃証言もとにした絵によると。その獣の全身は真っ暗で、尻尾がとても長いらしく、目が青いそうだ。
襲われたものによると、とても動きが早いらしい
「…」
名「どうかした?安心しなよ、君ならできるから」
出切るかどうか心配しているのかと、黙り込んだ彼女にそう言うと。
隣では、グッと目を細めているAちゃん。まるで遠くを睨み付けるような彼女の鋭い目
「はっきり言って、自信しかありません。」
名「ぇっ……あ、そ、そうなんだ」
彼女のその瞳に。
突っ込もうにも突っ込めなかった。
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作者名:穴 | 作成日時:2020年8月25日 19時